朝鮮人徴用工の強制連行はなかった? #ネトウヨデマ対抗テンプレ

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 ネトウヨがよく使う「鄭忠海の本を読めば強制連行がウソだったとわかる」というデマについて、カチカジャ!いばらきさん(@kachikajaibarak )の反論ツイートをまとめました。

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https://twitter.com/kachikajaibarak/status/1066244933231595520 からの連ツイ

本日(2018/11/24)の日本第一党茨城 @Jfirst_ibaraki
の街宣で、鄭忠海朝鮮人徴用工の手記』をあげ、強制連行がなかった証拠のように言っていましたが(もっとも聞いていた人はほとんどいなかったと思います)、デマ。というかたぶんネットの引用しか読んでないと思います。

確かに鄭忠海氏の記述には身近な日本人への感謝の言葉などもありますが、それはたまたま鄭氏の回りの人々が良い人だっただけの話。日本そのものや強制連行されたことについてはかなり辛辣に書いています。

「…我々の姿は何かの映画で見た、奴隷市場で売買される奴隷たちの姿に似ている。国を失った民族の哀しさよ。
これから私はどこかの、何をするかわからないところに連れて行かれようとしている。ただ北海道の炭鉱にだけは行かないことを願うのみである。」

「我が祖国、我が民族の為に、闘いに行く、働きに行くのなら、諦めもできよう。だがよその国家と民族のために強制的に動員されていく身の上、弱小民族の悲哀。船上には冷たい雨さえしとしとと降り始め、それでなくても侘しい流浪の心をより乱した。」

「強制的に動員されている身で、風景の美しさや農家の様式などに感心していてはいけない。いや良いものはよい、殺伐として荒れた所よりも豊かで美しいところが良いではないか。」

「今ここにきている人は、ソウルの社会の中でそれぞれ活躍していて、強制的に引っ張られて来た人々が大部分ではないか。日本に残っている人々は、指導層に属する人を除いては、殆ど老弱者、婦女子、未成年か身体障害者が大部分だ。…

(承前)たとえ徴用というよからぬ名目で動員されてきて、作業服をまとい奴隷のような扱いを受けていても、故国では優れた紳士たちだ。」

以上鄭忠海朝鮮人徴用工の手記』より引用。

 

  

ちなみに鄭忠海さんの手記が有名になったのは鄭大均『在日─朝鮮人強制連行の神話』で紹介されたからでしょうね。鄭大均氏の引用では上記の部分は引用されていません。彼の著書が強制連行否定論者に利用されていることが残念でなりません。

 

昨日の #日本第一党 茨城 @Jfirst_ibaraki のヘイト街宣で言われていた「鄭忠海の本を読めば強制連行がウソだったとわかる」というデマについて。

朝鮮人戦時動員FAQ
「鄭忠海の月給は140円だった?」

t.co

朝鮮人戦時動員の中で最も比重の大きかった炭鉱が戦時動員以前から多くの朝鮮人を雇用しており、過酷な「労務管理」方式が確立されていたのに対し、東洋工業は鄭氏が徴用された1944年に初めて朝鮮人を雇用した企業でした(寮が新築だったのはそのためです)。…

…また鄭氏が教育訓練を受けた西部勤労訓練所の寮長だった木下という人物は講話の時間に時局批判をするような、当時としては珍しい人だったということです。鄭氏の待遇が比較的悪くなかったのは、このような人物との幸運な出会いがあったからということも考えられます。」

「また、鄭氏の月給が高かったことについてですが、これは彼が中隊長に任命されていたためと思われます。1942年の官斡旋以降、朝鮮人労働者を管理する手段として、日本語の出来る者が隊長・班長・組長などの役職に任命されていました。…

…こうした役職についた者は一般労働者よりも給与が多く支給されていました(資料22)。すなわち鄭氏は、東洋工業という比較的恵まれた職場に動員された上、その中でも給与の面で恵まれていたことになります。…

「また「朝鮮人徴用工の手記」に「四○○円という船賃がなくて帰れない人も少なくない」という記述(資料23)からも、鄭氏が東洋工業の徴用工の中では金銭的に恵まれていたであろうことが推測できます。」

一口に朝鮮人戦時動員といっても、その様態は時期や動員先によって様々です。中には鄭氏のケースのように比較的恵まれていた例(ただしこれは、あくまで「比較的」ということであって、鄭氏は何の苦労もなく日本での生活を満喫していたわけではありません。「朝鮮人徴用工の手記」には、…

…自分たち朝鮮人が本来無関係であるはずの戦争に巻き込まれ、強制的に徴用されたことに対して怒り、嘆いていたことも書かれています)もありましたし、そういう例があったことを知ることは朝鮮人戦時動員についてより深く理解するためにも重要です。

…しかし、鄭氏の例をあたかも朝鮮人戦時動員の典型例であるかのように見なしてしまっては、その全貌を見誤ることになります。」

これは、最近になって朝鮮人強制連行との類似性が指摘されるようになった外国人実習生、研修生の問題でも同じことが言えます。奴隷労働に等しい低賃金による酷使やパワハラ、セクハラの例が後を絶ちませんが、一方で少数ではあるものの適正な賃金・労働条件を採用している雇用主もいます。

だからといって後者の例ばかりあげて前者の例をないことにしたり捏造扱いするのは間違いです。日本第一党はじめ強制連行否定論者がやっているのはそういうデタラメであることを改めて指摘しておきます。