数字で見る2018年のヘイト行動

データベースにいれている2012年4月以降のヘイト行動の件数を集計しました。
2018年のヘイト行動のデータは2018年のヘイト行動アーカイブマップをご覧ください。

昨年の集計は数字で見る2017年のヘイト行動をご覧ください。


無告知街宣も目に付く限り拾っていますが、漏れは多数あります。カウンターがでていなかったり、報告のないような街宣(とくにぼっちや少人数の辻たち街宣)は拾えていません。日本第一党NHKから国民を守る党、日本国民党などは捕捉できていません。自分の推測では、週に3-5件行われているので、全国で150-200件の辻たち街宣が行われていると思います。
種別に選挙としているのは、選挙期間中の街宣・練り歩きなどです。同日に行われていても、場所を変えていれば1件にカウントしています(2016年の桜井誠都知事選、2017年の岡村みきおの都議選など)。
このように母数に問題のある統計ですが、ある程度の傾向を見ようと思います。

 

地域別のヘイト行動件数推移

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2012年は4月以降の数字なので少なく見えます。1-3月分の推測値を入れると、350-370件になると思います。

2016年のヘイトスピーチ解消法施行はヘイト行動の抑止にはつながりませんでしたが、2018年になって大幅に減少しました。ひとえにカウンター活動の成果です。
・関東に集中(全体のほぼ3分の2)。その他の大都市は減少
・それまでヘイト行動のなかった地方や都市で新規に発生
昨年と同じ傾向がみられます。

 

種別ごとの件数推移

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デモは減少。東京都のデモが減少しました。
公安委員会の「治安の回顧と展望」はデモ件数しかみていません。公安レポートの記述をうのみにしないように。
街宣も減少傾向にあります。
※ 街宣減少の理由の一つは、選挙がなかったこと。2019年は統一地方選があり、多数のレイシストが立候補を表明しているので、街宣は増えると思います。
日本第一党は地方で講演会を行っていますが、党員以外への告知がほとんどないので、もれているようです。(集まっても数十名、講演内容はほぼ同じ、ネットに動画が公開されることが少ないので、収集の熱意をもてませんでした)。
2018年の「事件」は朝鮮総連発砲事件です。

 

地域別の種別ごとの件数推移

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関東以外の地域の件数は横ばいにみえますが、2018/10/14の日本第一党全国一斉行動で件数を維持しているようなものです。

odd-hatch.hatenablog.com

 

都道府県別の件数推移

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東京都が2016、2015年の件数の半分になりました。
埼玉県の件数減少は有門と渡辺昇の行動がなくなったため、滋賀県の減少は京津会(尊皇隊)が活動停止状態にあるため、京都府は西村斉や荒巻康彦が路上にでなくなったため。そのた、アクティブな古参のレイシストが活動を停止すると件数は激減します。
一方、日本第一党神奈川県本部や東京都本部が定期的な街宣をしているため、神奈川県や都西部の件数が増えています。
沖縄県の動向が気になっています。人種差別+沖縄差別の複合差別があって、カウンターがいないために、極めて悪質なヘイトスピーチ(と恫喝や罵声など)が発せられます。最近、沖縄県本部長は辞任して、党活動ができなくなったようですが、注意したい場所です。

uyouyomuseum.hatenadiary.jp


2017年に日本第一党は各地で講演会を行ってきました。そうやって党員を確保したところが、2018年10月14日に初街宣を行ったりしています。いくつかの県本部ではピンポンダッシュ街宣をその後に行いました(茨城、群馬、千葉、高知、宮崎など)。

 

都市圏の件数推移

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とくにヘイト行動の多い都道府県を抜粋しました。表にあげた都府県だけで全体の8割の件数になります。
東京都のデモ件数の減少は、新宿区のデモ規制の影響があるかもしれません。6月の施行以降、新宿区内でヘイトデモは行われていません。

 

発生月ごとの件数推移(選挙を含む)

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別のツイートで2018年は「9月以降激減」といいましたが、5月のゴールデンウィーク以後からでした。
2018年10月14日の日本第一党の全国一斉行動があったので(34件)、10月は増加しているように見えます。

 

発生月ごとの件数推移(選挙を除く)

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地域別の発生月ごとの件数推移(選挙を含む)

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2017年は関東のヘイト行動が突出して多かったのですが、これも減少しました。

 

在特会行動する保守含む)が主催者の件数

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在特会をなのるメンバーは関東と東北と中部にしかいないので、激減しました。

 

日本第一党が主催者の件数

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代わりに日本第一党が主催者になるヘイト行動の割合が増加。

 

地域別の日本第一党が主催者の件数

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地域別でも日本第一党が主催者の件数が増加。とはいえ、西日本(関西以西)では日本第一党とその他の行動の参加者はほとんど重複しています。

 

無告知(ピンポンダッシュ)の件数と割合推移

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2017年から無告知街宣が増える傾向にありますが、2018年も同様で、割合は増えています。
ネット中継のおかげで5割強は即座に捕捉してます。ただ抗議やカウンターにはなかなかいたらないところ(仕方ないですね)。

 

地域別の無告知の件数推移

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ここでも西日本(関西以西)では無告知の割合が増えていて、告知してカウンターが来るのを嫌がる傾向にあります。

 

関東のヘイトデモ

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関東では都内でしかデモをやれません。とはいえ、新宿駅前や東京駅前を通過したり、浅草浅草寺前を通ったり、秋葉原を通過したりと、コースは悪質です。この状態でオリンピック、パラリンピックを開こうというのは五輪憲章違反です。都はオリンピックを見据えて、ヘイトスピーチの規制や性的少数者を理由にした差別の禁止を定めた条例を2018年10月に成立させました。実効性のある条例なのか、2019年の都政に注目します。

 

関西のヘイトデモ件数

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関西も減ってきました。
とはいえ、東京でも大阪でもテーマによっては100人を超えるデモ参加者がいることがあります。

 

以上は件数でみた傾向。数字をとっていないところでは、次のような印象をもっています。

1.参加人数は減少している傾向
2.ヘイトスピーチはひどくなっている
3.警備は緩くなっている
4.カウンターの人数増加と創意工夫でヘイト行動を無効にできるようになった