【2019/5/14】(火) 参院法務委員会 有田芳生議員の質疑聞き取り(介護技能実習生について)


有田芳生「海外から日本に来て働いてくださる皆さんが、日本で充実した仕事をやっていただくとことを実現しなければいけない。しかし大きなアジアという枠組みで捉えた時にかなり厳しい状況が出てくるんではないか。とくに介護の質を高めていくということはもう決定的に重要だと思う。厚労省、いわゆる2025年問題というのはどういうことなんでしょうか

矢上厚労相審議官「2025年はいわゆる団塊の世代の方々が75歳以上となる年。75歳以上の高齢者で医療介護需要が高まっていく。国民一人一人が状態に応じた適切な医療介護を受けられるように医療介護提供体制を構築していくことが求められている

有田芳生団塊の世代という言葉は堺屋太一が作った表現。団塊の世代が高齢世代になる日本社会を割とバラ色にとらえられているが、具体的に見ていけばかなり厳しいもんがあると私は思っている。特別技能で介護の人達はこれから5年間で5、6万人海外から来ていただく。あるいは5000人介護職を海外から来ていただく。その数字で間違いありませんか

矢上審議官「介護人材の必要数は、第7期の介護保険事業計画に基づいて2016年度から比較して2025年度末までに、155万人、年間6万人ぐらいの方が追加で必要になる。そのうち5年間ということで30万人。外国人も必要だということはないが、日本人も含めて必要。

有田「特別技能だけではなくて技能実習生や介護技能実習生がもうすでに日本に入っている。そこにおける目標ってのお持ちなんですか

矢上審議官「実習生につきましては人材確保ということでございませんので、何という目標というものを立ててるわけではございません

有田「目標は立てていないということですか。その必要がないんですか

矢上審議官「技能実習につきましてはそういうことでございます

有田芳生「初めに2018年7月1日に中国の大蓮から二人の中国人女性が日本にやって来て介護技能実習生として働いている。その人たちを含めて今現在介護技能実習生は何人日本にいらっしゃるかってのは確認されてますか

佐々木長官「31年の1月末現在で中国人の介護技能実習生が179名、それからミャンマー人の介護技能実習生が22名となっております

有田芳生「その人たちが本当に介護の職種としてうまく働いているかを追跡しなければいけない。労働条件も含めて。中国から179人、ミャンマーから22人、おそらく他の国から来てらっしゃる可能性も高いと思うんですけれども、追跡をしていただきたい。
2025年問題は日本だけじゃなくてアジア全体の問題になってきてる。中国では2050年になると80歳以上の人口が総人口の8.9%。日本の人口と同じぐらいの1億2043万人が80歳以上になる。中国でも介護ってのは必要になっている。日本に来るようなゆとりってのは、これから5年6年の単位で見たら中国にしても、韓国にしてもない。アジア諸国でも少子高齢化がこれから進んでいくと考えたとき、(5年間で30万人というような)数字で海外から来てもらうにはよっぽど技能実習生の制度を魅力あるものにしなければ来てくれない。実際中国なんかはもう日本に行くどころか、中国で賄って行かなきゃいけないっていう思いが広がってる。ベトナムなんかでも、日本に行くよりも韓国行った方がよっぽど待遇いいよっていう情報が広がってる。技能実習制度をきちんとした制度にして、そこに問題があるならば今からでも改善をしていかないと、日本に来てくれない。5年6年という単位で見た時にしっかりした仕組みを作らないといけない。

山下法務大臣「介護について世界的な人材不足あるのではないかというご指摘については全く同感でございます。介護人材が国際的に非常に人気が、その中で日本は選ばれる国にならなければならない。技能実習全般についてマイナス評価がなされているという点も、一部の受入機関において労働基準法労働関係法令違反や死亡事案があったことは真摯に受け止めなければなりません。今回この調査報告を受けたのみならずその低減にも しっかりと対応していきたいと考えております。日本の介護のスキルというのは国際的に見ても非常に高い。しっかり技術移転を図り、技能実習の適正化を図る中で日本のイメージをアップさせていきたい。特定機能において介護が4月1日から認められることになっている。受け入れ環境の整備そのほかもしっかりと取り組んで、日本に介護人材が来ていただけるようにしっかり取り組んで参りたいと考えております

有田「大臣が技術移転とおっしゃったが、日本に来るのは出稼ぎ的意味合い持った人達が多い。例えば介護の仕事で来日しているミャンマー技能実習生のインタビューをみると、親のためそれから家族のために日本に出稼ぎに行くという。それはそれでいいと思うんですよ、本音ですからね。ミャンマーに帰って何をやりたいですかっていうアンケートをとると、一位はレストランや薬屋などの自営業。二番目に日本で学んだことを活かして介護やお年寄りの仕事。三位が日本語の先生、通訳、日系企業への就職。そうなるのは介護の職がそれらの国にないから。
介護の技能実習生としてきている中国179人ミャンマー22人が日本で技能実習生して働く時に、労働条件、セクハラ・パワハラの問題などが克服されてる職場で働いてるか

矢上審議官「外国人技能実習機構が原則として、管理団体に対しては年1回、実習実施者に対しては3回3年に1回の実地検査を行う仕組みがある。技能実習制度上の仕組みを通じまして必要であれば是正を求める。

有田「仕事を嫌いになったり失踪したりする多くの技能実習生の大変な労働条件にある。職場の環境を一年に一回調べればいいっていう状況ではない。だからこそ介護に来られた方々の状況についても、ちゃんと定点観測すべき。労働条件がちゃんと整ってるのか、約束通りなのか、そして職場環境はちゃんとうまくいってるのか。調査の体制を取るお考えはないんですか

佐々木長官「外国人技能実習機構が定期的に管理団体から監査報告を受けることになっている。それとは別に問題がありそうだという所に赴いていくことは行っていて、様々な方法で現状把握をするということになってます

有田「だけどそういう仕組みがあったにも関わらず、去年から各委員会で問題になってる。技能実習生の様々な大きな問題が明らかになった。これだけ大きな問題が明らかになったから、これまでと違った体制を取らなければみえないんじゃないですか。そういう新しいしくみってのは何かお考えなんでしょうか

佐々木長官「監理団体の許可制、技能実習計画の認定制度等にくわえて、例えば失踪が起きた時に初動体制として実習実施機関に飛んでいく、そしてその関係書類を押さえておく、そして何が問題だったかということを見ていくというようなことは、今まで以上に厳しく行うということを、少なくとも出入国在留管理庁の現場には徹底しようと思っています

有田芳生ベトナムなんかでは日本に行くよりは韓国に行った方がいいんだということは、若者たちの間にずっと広がってきてる。ミャンマーでも介護の技能実習生を日本に送る送り出し機関なんかは、本当に日本に行ってきちんと日本人並みの賃金が払われるんだろうかという疑問があって、そのことを事前にきっちりと調べて、これ危ないなっていう時にはもう日本に送らない。アジアで少子高齢化が進むような状況で、日本にちゃんと来てくれるんだろうかという疑問を深く持っている。
具体的にお聞きしますけれども、介護技能実習生として中国の大連から2018年7月1日に二人の40代の女性がいらっしゃいました。今宮崎県の介護付有料老人ホームさらには認知症グループホームでお二人は働いてらっしゃいます。この二人の介護の仕事ぶりはうまくいってると理解されてますか

矢上「個別具体のケースにつきまして把握しているわけではございません

有田「それを調べないと。海外からやって来てくださって日本人のために一生懸命働いてくださってると思いますけれども、日本語能力も、介護の質の充実も含めて問題が起きてるかどうかっていうのは、なんでこれ把握しないんですか

矢上「かりに何かその実習生の受け入れがスムーズに進んでいないということだったら、外国人技能実習機構や監理団体の実地検査等を通じて個別事案を確認する。ご指摘のような実態について把握をすることも検討したい

有田芳生「中国の大連からは介護の技能実習生として初めて2人の方がいらした時には、メディアも大きく報道しました。その後うまくいってんのかどうなのかなどは厚労省も含めて調べなきゃいけないのではないか。うまくいってなければ、それをモデルケースとして、改善しなければいけないとか、きめ細かくやるべきだ。これからでもいかがですか、調査されたら

佐々木長官「現時点では秋の実習生前半の就労状況の調査を行っていないが、技能実習生の就労状況を踏まえつつ実態把握を行うということについてやりたい。

有田「調査やらなきゃいけないというのは、残念ながら宮崎のケースはうまくいってないから。他にも中国から179人、ミャンマーから22人来てらっしゃるわけだから、その方々が困らないように、あるいは介護を受ける側も困らないような配慮・充実をやるべき。そこら辺のキメの細かさがないから、また同じことが繰り返されるんではないかという危惧を持ってしまうんです。
ミャンマーで日本語を勉強してそれを習得するってのはなかなか困難。日本語教師が少ない。ものすごく困難を抱えて、日本語を習得をされてきてる。ひとつだけ提案をしておきますけれども、一番うまくいったのは、日本の日本語教師と結んで Skype で教育をやる仕組み。そういうことも、今後早急に検討していただけないでしょうか。これはミャンマーだけじゃなくてですね

佐々木長官「外国人の受入れ環境の整備で、日本語教育あるいは日本語の環境整備というのは非常に大事な柱になってると思う。海外にいるか、国内にいるかを問わず、この受入環境の整備の大事なポイントを柱として、日本語教育の在り方については関係省庁とも協力しながら考えていきます