【2019/5/21】(火) 参院法務委員会 伊藤孝江議員の質疑聞き取り(受刑者に販売される日用品の価格が高すぎる問題)

2019年4月3日

ティッシュ1袋が594円 刑務所の日用品「高すぎ」

大阪刑務所(堺市)で受刑者に販売される日用品の価格が高すぎるとして、大阪弁護士会が刑務所に改善を勧告した。販売が民間委託された後、ティッシュペーパーが市価の約4・5倍になるなど、受刑者が必要な日用品を買う権利を侵害していると指摘している。勧告は3月29日付。

 受刑者は日用品を支給されているが、自費でも購入できる。法務省などによると、全国の刑務所や拘置所などで2011年以降、販売委託先が刑務官OBらの団体から大手商社系の民間業者に変更され、物品や価格が統一された。大阪刑務所では12年から、この業者が販売を開始。男性受刑者が16年、大阪弁護士会に人権救済を申し立てていた。

 勧告は、ティッシュ1袋(800枚)が16年当時、市価の約4・5倍となる594円だったと指摘。また11年と16年の価格を比べると、男性用半袖シャツは300円から794円に、男性用ブリーフは306円から702円に最低価格が上がり、周辺の市価よりも高額だったとした。

 そのうえで、受刑者が刑務作業で得る報奨金が月額平均約4300円という点を踏まえ、「(値上げが)品質向上が理由だとしても、報奨金に見合わない高騰だ」として、価格の見直しを業者と協議するよう刑務所に求めた。

 法務省矯正局は「業者と協議のうえ、適正な価格を決めている。受刑者の環境や施設に合わせた物品であり、スーパーなどとの単純な比較は難しいと考えている」としている。

 

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伊藤孝江議員の質疑


伊藤孝江議員「(途中から)、こちら面会に来られる方、あるいは差し入れという形で現金が入るからまた物品がもしかして入るというような形の方もいらっしゃるかも分かりません。収入がこの作業報奨金のみという方もたくさんいらっしゃる。面会も数限られる中で、切手や郵便物や切手やハガキやとか重要なものも定期的に買っておきたいというような方もたくさんいらっしゃる中で、作業報奨金の額しか使うことができない人がいる。しかもそういう方が決して少なくはないことは踏まえて決めて行かないいけない。いかがでしょうか

名取矯正局長「受刑者も様々な経済的基盤を持っている人がおります。大変低い収入の人もあれば、低い所持金しかないものもいるということは考慮して、この価格については決めなければいけないと認識しております。

伊藤孝江議員「この価格設定を決める義務または権限というのは刑務所長にあるんでしょうか

名取矯正局長「販売事業者で販売する物品の価格は、事業者と法務省矯正局との協議により価格を決定しております。刑事施設の長はその自分の庁で取り扱い品目を検討して採用するということはしておりますけれども、この統一物品の価格決定には刑事施設の長は関与しておりません

伊藤孝江議員「平成19年5月30日付の被収容者に係る物品の貸与式及び地面に関する訓令の運用についてという通達の中で、販売業者事業者を指定した場合にも協定書を取り交わさなければならないとある。この協定書の中には、物品の販売又は取り扱いを行うにあたり、刑事施設の管理運営にかかわる事項については刑務所長の指示に従うこと、価格の変更を行う場合には事前にその旨を掲示施設の長に連絡し協議を行うことと掲げられている。刑事施設の長が一定程度の関与するということを当然の前提として規定されているんだと思うんですけれども、いかがでしょうか

名取矯正局長「物品納入の方法などはあらかじめ事業者と刑事施設の長が協議すべきようなことを通達は示している。物品の価格自体は、事業者と矯正局との協議において決定しているところでございます

伊藤孝江議員「刑事施設の長が具体的な権限という形で関与することはなくても、そのぶんを矯正局が全国統一という形で関与している。矯正局において責任をもって価格を決めているということでよろしいんですね。

名取矯正局長「その通りでございます。

伊藤孝江議員「それを考えた場合に、受刑者が生活を送ることができるような物品を標準的な品質で、また市場価格からは乖離しない価格のものを提供する義務が国側にあり、それを決めるのが矯正局に義務があるんだというふうに考えますけれども、その点いかがでしょうか

名取矯正局長「物品の価格については強制曲としましても、可能な限り低廉なものとなるよう努めていく必要があると認識しております。このためこの物品の価格の決定に際しましては、矯正局がその事業者との協議を行うにあたっては、定価やメーカー希望小売価格のような基準が設定されている時にはそれを超える金額にならないように、またこのような基準が設定してされていない時は同一品または類似品の市場価格から大きく乖離した金額とならないように、また選択できる種類を増やして価格帯に幅を持たせるようにするなど、色々な工夫をしながら競技をしてまいりたいと思っております。そのように努めてまいりたいと思っております

伊藤孝江議員「今後も業務自体はずっと続いていくと思いますので、今ご説明いただいたような考えのもとにしっかりと進めていていただきたいというふうに思っております。
最後に大臣にお伺いをいたします。今回、この問題に関連をして大阪弁護士会の勧告書の受け止めがいかがなものか。作業報奨金や実際の収入に見合わない価格設定をしてしまえば、それによって受験者が生活必需品を購入する権利が制限されてしまう恐れがあり、これは人権侵害であるという風には考えますけれども、いかがでしょうか

山下法務大臣「価格は、物品販売事業所と矯正局との協議により決定しております。メーカー希望小売価格の基準が設定されていれば、それを超える価格とならないようにしているというところでございます。また作業報奨金の出資については受刑者の勤労意欲を高めることにより、改善・更生の意欲を喚起し、所持金を持たせて社交をすることにより円滑な社会復帰をすることになりまして、必ずしも収容中の日用品等の購入品を自慢するためということとはリンクしてないというところはございまして、人権侵害とまでは言い難いのではないかと考えております。ただこの大阪弁護士会の、品質及び価格帯が受刑者の生活代に適合したものになるように販売業者と協議して改善することを勧告するという趣旨については、これらの真摯に受け止めまして、受刑者が購入できる物品の価格については、今後も一般社会における実情も踏まえながら、適切に対処をして参りたいと考えております。生活をすることができないということにもなりかねませんので、その点も踏まえてまいりたいと思います。