【2016/5/12】 参院法務委員会 ヘイトスピーチ対策の与党案の質疑(小川、有田、仁比議員)と採決の聞き取り

13:30-15:30 

魚住委員長「開始します。(委員の異動があったもよう) 野党案について」

仁比「野党案の質疑を中止し、ただちに採決に移る委員会の運営に反対する」「より良い法案の成立のためには全会一致が必要。そのためには野党案の質疑も必要。その検討がまったく行われなかった。残念ながら棄権せざるを得ない」

魚住「質疑中止に賛同するかた。賛成多数で質疑中止」

岩城「政府としては本法案には反対」

魚住「野党案採決する」「賛成少数による否決」



魚住「与党案を議題とする」

矢倉「(法案趣旨説明:略)」「本邦外出身者を含むを加える」「法案成立後も引き続き審議するという付帯決議を加える」

小川「法制局に質問。第2条の定義について修正内容を説明せよ」

法制局「矢倉さんの答弁を引用。具体的な例として本邦外出身者の生命的な危害を加える事著しい侮蔑を行うことを加えた

小川「質問趣旨は定義が狭すぎるのではないかという観点から行った
。地域的社会から排除することだけが差別的言動に当たらなくなるのではないか(ここ間違いかも)。威嚇、排除、侮蔑の3つのステージがヘイトスピーチとしてとらえているが、この法律では排除だけを対象にしていて、威嚇と侮蔑は適用対象から外れているのではないか。


矢倉「排除の意味内容が狭すぎるのではないかという疑念だと理解。であれば、そういう意味ではない。より広く地域共生している人たちの中に入って人格を否定する、社会を亀裂する、分断する行為を含めている。広い意味合いでとらえている。侮蔑や危害の告知も含まれる。

小川「侮蔑や危害の告知をするものが嫌がらせをしているだけ、地域社会から排除する意志はないといわれたときに、法律の対象にならないという懸念がある。それもはいるということを答弁してくれ

矢倉「解釈の権限は言動する者が行うのではない。小川議員の趣旨は反映している



有田「2013年をピークにヘイトスピーチが吹き荒れた。4/29大阪梅田でヘイトスピーチの街宣があった。街宣参加者のうち、過去に実刑判決を受けたものがヘイトスピーチを始めたときに、街宣の主催者が止めた。こんなことは今までなかった。これは市民の戦いの成果。具体的に与党案に質問。まずヘイトスピーチはなんですか

岩城「概念は必ずしも確立したものではないが、人権擁護局の資料によると・・(略)。

有田「3つの国際条約で定義されている。それでは国籍ではなく民族にあるとされる。本邦外出身者に限られている意味はなに

矢倉「対抗言論の許されないような状況での言論は許されないというのがこの法の下になっている。本邦外出身者に定めた理由は、理念法である以上、国民全体の理念を明かにするものであることが必要。理念を掲げる上では立法事実のあるところ(京都や徳島の事件)を共有するためにこの文言を入れた。それ以外を除くわけではないことを理解してほしい


有田「最初のヘイト事件はフィリピン人家族への在特会のデモ。在に異コリアンだけではなくオーバーステイ、難民、奈良水平社博物館にも襲撃があった。高松高裁では(徳島事件を)人種差別を認定した。アイヌ民族のヘイトは把握しているか

法務省「網羅的に把握しているとはいいがたい。平成27年にアイヌ1000人?を対象にした調査ではヘイトがあることを把握

有田「オーバーステイ、難民、アイヌもこの法案の対象であると理解してよいか

矢倉「文脈上、理念に当たるものは許されない

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https://kokkai.ndl.go.jp/txt/119015206X01320160512/30



有田「一部の国会議員は米国軍事基地への『ヘイトスピーチ』を対象にするものだといっている。それは法案の対象に当たるのか

西田「米軍への反対運動はこの法律の対象にしていない。反対運動は政治運動なので、法律の対象外

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https://kokkai.ndl.go.jp/txt/119015206X01320160512/32


有田「参考人の手紙を朗読。『国会で成立することが重要。社会への影響が大きい』。『絶望が希望に変わった。在日コリアンと打ち明けられない若者の人生が変わる。』人権問題は終結点がありませんので、今後も人種差別撤廃法が成立するまでわれわれはがんばる



仁比「在日米軍を批判する人の『在日米軍はでていけ』という言動はこの法律の定義に当たりえないとかんがえる。与党議員には対象になると発信する者がいる。この問題をどう考えるか

西田「この法案には米軍基地への反対運動は立法事実に入っていない。法律の対象には入っていない。政策批判、政治的言論は憲法表現の自由の範囲。それが制約されないように腐心したのがこの法律。
矢倉「2条の定義では出身を考慮するが、『米軍』という機関は出身ではない。

仁比「米軍という機関は排除の対象に入っていないという。マイノリティに対する排除がヘイトスピーチであるのだが、その考えでよいか

西田「マイノリティがどうかではなく、不当な差別的言論であることが大事。米軍は対象にならないが、アメリカ人になにを言ってもかまわないということではない

仁比「政府批判、政府対抗言論は法律の対象外という認識でよいか

西田&矢倉「その通り。想定もしていない。

仁比「この取り組みを踏まえて国会の内外で、一層力を尽くしていくことが国会議員に求められている。ヘイトスピーチ根絶のために力を尽くす決意を

西田「仁比議員に賛同。日本人にとって恥ずべきものという趣旨でやってきたので、ヘイトスピーチをやってきた人が自らを恥じて止めるようにしたい
矢倉「さらに努力する。

魚住「討論にはいる

小川「法案と修正案に賛成。問題点は、努力義務にとどめ禁止規定がないこと。実効性が乏しいと思う。差別言動の定義も狭い。さらなる立法措置が必要と考える。法案は必要との声があるので賛成

仁比「いずれも賛成。内容に問題はあるが、国民の声に支えられて与党案ができたのが重要。問題点がある。修正提案を行ってきた。それらは採用されなかった。引き続き検討が必要。ここで成立する意義は大きい


全会一致で可決

有田「付帯決議案を提出します。(読み上げ

全会一致で可決

岩城「付帯決議は趣旨に基づき適切に対処する