【2016/5/24】 「ヘイトスピーチ解消法成立にあたって」参議院法務委員会有志による記者会見の聞き取り

参加者
西田(自民党)、矢倉(公明党)、有田(民進党)、仁比(共産党)、香山(司会)

15:00~16:15

香山「法案成立の感想を

西田「参院法務委員会の理事をやってきた。ご不満な肩も折れれるかもしれないが、憲法表現の自由を担保したうえで、ヘイトスピーチを解消するんは最善の法律になったと思う。成立をうけて、ヘイトをされている方々は、その考えをただちにおやめいただきたい。それでもやる人には行政他が厳正に対処して、行政権を執行してほしい。裁判訴訟の場になることも考えられるが、この法律の趣旨にのっとってただしく判断していただきた。この日本ではヘイトスピーチができなくなることになる

有田「2013年3月14日に参院で有志の方と集会を持った。それから3年で到達したと思うと、さまざまな思いが去来する。体を張って止めてきた人、地道な運動をした方、研究者、ハルモニほかの当事者、彼らの連携があって成立できた。現場での差別を許さないという怒り、この問題を取り上げてきた人の粘りの勝利。与党からヘイトスピーチに特化した法案がよいという提案があった。よりよいものにするために体を張って闘ってきた人、当事者、長年研究してきた人の連携があって、ここまできた。できたものには不満はあるが、これからは魂を入れる。今日は大きな一歩、これからが大切。西田、矢倉にお礼を申したいのは、審議する中で当事者を参考人に呼ぶこと、川崎の集住地区に現地に視察にいくことなど、野党の提案を全部受け入れた。法務省外国人差別の実態を調査することになったから、与党野党といっしょにさきにすすめたい

矢倉「今日の日を迎えるにつけて、努力されてきた方に敬意を表したい。当事者の話を聞いてショックだった。ヘイトに傷つくかたのいる日本になったかと暗たんたる思い。ヘイトスピーチに恐怖を駆られている方々のために、ヘイトスピーチに特化した法律にした。表現の自由との兼ね合いを付けるのが難しかった。重視したのは全会一致で可決すること。そうでないと意味がない。全会一致で可決できたのは大きな前進。当事者からすると、この法律ではまだ不十分という思いを持つかを思うが、そういう方が前に薦めることが大事ということで、可決の後押しをしていただいたのは大きい。

仁比「法案が成立して全員で記者会見に臨むというのは、ヘイトスピーチの被害の壮絶さ、国民の身を振り絞るような声が国会を動かした。今日は立法府の意志を明確にする一歩。昨年8月に野党案の実質審議が始まった。参考人の質疑や桜本の視察が行われた。視察で共有したのは、在日一世のハルモニに、『日本から出ていけ』は人生丸ごとの否定であった。似たついてヘイトスピーチをいう、それを警察が守る。それは共生を否定する。根絶のために何ができるかが焦点になった。国会で議論をつくり、合意を形成するのが大事。大きな問題があるが議論を尽くし全会一致で可決することが大事を繰り返してきた。参院でも提案者の決意も表明していただいた。これがHSの根絶になるように力をあわせていく

香山「表現の自由とのかかわりで理念法になったが、実効性は

西田「法案の一番議論されたところ。禁止をすると、その時点で罰則を付けなくても、禁止の定義をしなければならない。境界線のところでヘイトスピーチが行われることを危惧。禁止規定を入れると、行政がやっていないということになって、表現の自由の制限になりかねない。この理念を受けて行政が厳正に対応することを期待。現行法で抑えていけるのではないか。

香山「附帯決議がついている。本邦外出身者以外の適法居住者の問題は」

矢倉「HSの解決は一定の行為を公権力が押さえつける事では解決しない。規制を付けることで解決するものではない。長い長い戦いがこれからある。

香山「適法居住の件。HSが急激に増えたのは2009年のフィリッピン人一家へのデモから。

仁比「発議者の答弁ではっきりし、深まっていたのではないか。不適法居住者、オーバーステイ、難民への国家の対応と、HSとは全く別の問題。与党案の定義に問題があるので、このような矛盾が起きる。条文には入れられなかったが、意識は共有されたとおもっている

香山「今後の在り方について。現場を知る議員から

有田「魂を入れるのは、当事者、現場で戦ってきた人、研究者などの協力と運動で。附帯決議が入ったが法務省からは異例といわれた。本則に入れたかったが、附帯決議で『人種差別撤廃条約の精神にかんがみ』の文言が入った。これがあることで差別は許さないという決意が現れている。地方ではすでに運動が始まっている。参院法務委員会でも警察や法務省が成立後なにができるかの準備が始まっている。警察もデモの警備の在り方について、通達をだすことになっている。われわれも文案を警察庁に提出した。インターネットの差別動画が残っている。ニコ動は手続きで消せるがユーチューブが消さない。法務省は厳しくユーチューブに対応することを検討中。

東京新聞「次回の法務委員会の見通し

有田「与党案は専門家の評価によると歴史的意義がある。参院で真剣に討議する中で、決議文を出すことを野党が提案し、与党が快く受け入れた。今は詰めている準備。国民向けの宣言を5/26に間に合わせたい

朝日新聞与野党が並んで記者会見するのは珍しいこと。議員が現地に行く被害者の声を聴くのも珍しい。デモの申請を受け付ける公共団体が困る状況がある。法務委員会の審議そのものが解釈の指針になる。地方自治体に示す工夫があるとよい

有田「民間団体が与党案ができてなにができるかの資料をつくると聞いている。われわれも資料提供などをしたい。その準備は始まっていると思う

共同通信「インターネットの差別にはどう対処するか。熊本地震のデマとか、市議のデマ擁護発言とか

西田「インターネットの法規制は難しい。サーバーがどこにあるのかわからない。(CMのため聞き取れず)文明人としてネットに差別的言動を流すことは恥ずべき。モラルなり理念なりを心に持つことが必要。現場が高買う方が示し、マスコミが示すことが大事
矢倉「法務省がデマに対処することは明言した。
仁比「民間団体の研究と一緒に、立法府が解釈指針を出すことは大事。現場の方々との実践を通じて示していく。インターネットでも現場の対応の積み重ねで
有田「2013年に新宿区のヘイトデモで、公園の担当は困っていた。集会をしてはならないことになっているがやられていた。6/9川崎でも公園を使うことになっている。そのときに条件を付ける。今回やったら次回ダメとか桜本にいくのを許さないとか。山形市レイシストにかさない例があった。県議会でも許可しなかった。毅然としていれば法律がないときでもやれせないことができた。この法律でもっとできることを期待

(西田議員は公務のため15:50で退席)

神奈川新聞「桜本視察の感想と自治体への具体的な対応など

矢倉「桜本の視察で実感を持てた。次のデモがあるが、国の意識が示されたので、自治体も対応してい欲しい
仁比「桜本の共生の取り組みの歴史と苦闘を痛感。そのうえでデモに対する住民の恐怖を実感。

IWJ「西田議員は『終えることができた』、有田議員は『大きな一歩』と温度差がみられる。この先の展望は

有田「人種差別のひとつにヘイトスピーチがあるという認識。20数年前に人種差別撤廃条約にはいってから何もしてこなかった。これから差別撤廃法をつくらなければならない。法務省東京オリンピックに向けて実態調査をすることになっている。結果がでることでさらに前に進めていく。
川崎警察に申し入れに行く。西田議員も協力を約束。
矢倉「目指すのは人種差別のない社会。法律をつくるのが目的ではない。社会をつくるためにあらゆることをやる。

安田さん?「与党内で理念の共有ができているか

矢倉「ある議員の発言は誤解(米軍反対派ヘイトスピーチ)。与党内ではしっかりと共有されている

仁比「公人によるヘイトは審議で取り上げた。アイヌ差別など。当事者を傷つけることが極めて深刻。公人はヘイトスピーチをしてはならない。このこと自体がこの理念に反する。政治的な議論としてわれわれが指摘しなければならない。この法律成立でヘイトスピーカーへの社会的包囲の一歩とする

有田「2011年に最初にヘイトスピーチという言葉が使われた。2013年新大久保のデモから使われるようになった。同年の流行語大賞になった。いまはヘイトスピーチは悪いことだという認識はこどもにもできた。もっともっと広げていかないといけない。近代日本の土壌にあった差別を掘り起こす作業。

香山「今日は心が晴れやかになる気持ち。歴史的瞬間に立ち会えて感激。この日を喜びたい。