警察庁「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律の施行について(通達)」

 

警察庁丙備企発第147号、丙公発第21号
丙備発第191号、丙外事発第92号
庁内各局部課長丙国テ発第57号、丙総発第57号
丙人発第88号
平成28年6月3日

警察庁警備局長
警察庁長官官房長

都道府県警察の長 殿
(参考送付先)
各附属機関の長
各地方機関の長

 

本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律の施行について(通達)

 

本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成28年法律第68号。以下「法」という。)は、別添(省略)のとおり、本日公布・施行された。法は、いわゆるヘイトスピーチの解消が喫緊の課題であることに鑑み、本邦外出身者に対する不当な差別的言動は許されないことを宣言し、こうした言動の解消に向けた取組を推進しようとするものである。いわゆるヘイトスピーチといわれる言動やこれに伴う活動については、これまでも、違法行為を認知した際は法と証拠に基づき取り締まるなど、厳正に対処してきたところ、下記法の目的等を踏まえた警察活動を推進し、不当な差別的言動の解消に向けた取組に寄与されたい。

 

 

1 法の目的
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進するものである(法第1条)。

 

2 法の概要
法は、基本理念として、「国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない」(法第3条)と規定するとともに、国及び地方公共団体の責務として、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策を実施すること等を規定している(法第4条)。また、国及び地方公共団体が実施する基本的施策として、相談体制の整備(法第5条)、教育の充実等(法第6条)及び啓発活動等(法第7条)を掲げている。
なお、法の成立に際し、参議院及び衆議院の法務委員会において附帯決議が付されており、両決議においては、法の定める本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りであり、法の趣旨等に鑑み、適切に対処することなどとされている。

 

3 法を踏まえた警察の対応
法は、その前文において、「不当な差別的言動は許されないことを宣言するとともに、更なる人権教育と人権啓発などを通じて、国民に周知を図り、その理解と協力を得つつ、不当な差別的言動の解消に向けた取組を推進すべく、この法律を制定する」としている。

各位にあっては、法の趣旨を踏まえ、警察職員に対する教養を推進するとともに、法を所管する法務省から各種広報啓発活動等への協力依頼があった場合にはこれに積極的に対応するほか、いわゆるヘイトスピーチといわれる言動やこれに伴う活動について違法行為を認知した際には厳正に対処するなどにより、不当な差別的言動の解消に向けた取組に寄与されたい。

 

4 添付資料
(1) 法の概要(省略)
(2) 官報(省略)
(3) 参議院法務委員会における附帯決議(省略)
(4) 衆議院法務委員会における附帯決議(省略)

 

 

https://www.npa.go.jp/pdc/notification/keibi/biki/keibikikaku20160603.pdf