【2020/3/24】(火) 参院法務委員会 有田芳生議員の質疑聞き取り(公人はヘイトクライムに立ち向かう責任がある)

 

※ 以下はgoogleドキュメントの音声入力による聞き取りを編集したものです。発言を正確に文章にしたものではありません。
※ テキストはヘイトスピーチを含みます。閲覧の際はご注意ください。

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有田芳生「今朝、毎日新聞の読者からの投書欄を読みました。千葉県我孫子市の78歳の無職の方です。どういう趣旨かと言いますと、男女格差指数が取り上げられて日本は153か国中121位と過去最低になっている。特に議員、管理職の女性割合の低さが指摘されてる。その上でこの方は私も女性議員の増加を期待しているということでした。そんな折、森まさ子法相の国会答弁の右往左往ぶりが報じられている。法相は重要閣僚の一人だ。森法相は今女性として最高の地位にあると思う。そのことをもっと自覚し、女性議員はやはりと言われないように誇りある対象をして頑張ってくれという結論でした。
そして私は今日の質問で最初に森大臣答弁姿勢について率直にご意見を伺いたいと思います。今日も先ほどの頭の中で個別の問題には答えられないというようないつもの表現がありました。予算委員会福島瑞穂議員の20分間の質疑の中でなんと森大臣は個別のことだったら答えられないとなんと35回も語られた。私は予算委員会でその答弁をお聞きをしていて、率直に言って見苦しい聞き苦しいという感想を持ちました。答えられないことはあるでしょうだけど、もっと言い方変えてもいいんじゃないかというようなことを思いました。
なぜそういうことをこの質問の最初に伺うかと言うと、津久井やまゆり園の事件で判決が出ました。ヘイトクライム差別犯罪です。事件そのものは中世・近世・現代、その歴史の中で見ても非常に特異な異常な大変な事件だと私は思います。そういう重大な事件が起きた時に、日本の総理大臣が、あるいは法務大臣が、とんでもない差別犯罪が起きた時に『許せないんだ』というメッセージを国民に対して出すべきだった。安倍総理からも当時の法務大臣からもそういう言葉はありませんでした。許せないというメッセージを出す公人としての責任があると思います。そういう私の意見に対して、森大臣、どういうご感想をお持ちですか

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法務大臣「委員から厳しいご指摘を受けました。話せないことはございますが話せる限り精一杯真摯にご答弁を申し上げていきたいと思います。そして今ほどのご質問の中身でございますが、差別や偏見については絶対許さないという姿勢を法務省はこれまでも取ってきておりますので、これについては私も法務大臣として許さないというふうに申し上げたいと思います

 

有田「やまゆり園ような事件が起きた時に、政治家は大臣は総理大臣は国民に対して強いメッセージを外すべきではないかという質問なんですが、いかがですか

 

法務大臣「個別の事案についてなかなか箸が難しい面もあると思いますが、一般的に差別を許さないというメッセージを出していくことが重要だと思います。出来る限り差別許さない許さないということをメッセージとして出していくべきだという風に思います

 

有田芳生「自殺をされた赤木俊夫さんの遺書を読まれましたかという質問をなさいました。それについてどう思いますかということに対して個別の問題に答えてるじゃないですか。だから語らなければいけない時があると思いませんか

 

法務大臣「あの内容についてはお答えを差し控えさせていただいたところでございます。そのように個別の事件の捜査や法務大臣として差し控えるべき事柄もあると思いますが、先ほどの繰り返しになり恐縮です

 

有田「遺書を読んで私が感想を述べたように、言えることもあると思います。その限りでやはりしっかりと差別や偏見を許さないというメッセージを出し続けていくことが重要だと思います 。
人権擁護局長、ヘイトスピーチとは何ですか。

 

人権擁護局長「いわゆるヘイトスピーチには大きく分けて三つの類型があると考えております。一般的に申し上げますと、一つは特定の民族や国籍に属する人々に対して危害を加えるとするもので、何々人は殺せなどとする言動がこれにあたると考えられます。二つ目は特定の国や地域の出身である人を著しく見下すような内容のもので、特定の国出身者を差別的な意味合いで昆虫や動物や物に例える言動がこれにあたると考えられます。3つ目は特定の民族や国籍の人々を合理的な理由なく一律に排除排斥することを煽り立てるもので外国人は日本から出て行けなどとする言動がこれにあたると考えられます。

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有田「ヘイトスピーチとは何か、法務省が明確に示して、今ではホームページにも掲載していただきました。
そこで警察庁に伺います。ヘイトスピーチ解消法が制定される過程の中でも、この法務委員会の与野党の議員法務省の職員も含めて川崎市のふれあい館で視察を行い、在日一世の方などからこれまでの人生のお話を伺いました。法務省の職員の中には涙を流していらっしゃる方もいた。ヘイトスピーチ解消法が制定されるケイトの中でこのふれあい館の果たした役割は非常に大きなものがあると私は理解をしております。この川崎市ふれあい館が今年の1月、職員の方が職場に行ったら年賀状の中に脅迫状が入っていた。皆さんにお配りをしておりますけれども、これはもうすでに報道もされておりますので、あえて読み上げます。『謹賀新年 在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう 生き残りがいたら残酷に殺して行こう』。このような脅迫文が川崎市役所にも届いた。さらには小中高校にも違った脅迫状が届き、資料の一番最後に写真を入れましたけれども、横浜の中華街にもとんでもない封書が届いた。警察庁に伺いたいのは一連の脅迫文というのは何通、その特徴、その捜査の現場というものを簡単にお示しください

 

警察庁立川審議官「お答えいたします。川崎市では本年1月から2月にかけて、市の施設や小中学校などに対して脅迫文書が届けられたものと承知しております。これは合計7つでございます。これらの事案につきましては神奈川県警察において被害届を受理し所要の捜査を行うとともに必要な警戒を行うなどの対応が取られているものと承知しております。一方横浜市の件でございますけれども、これは今月の始め頃でございますが、中華街の飲食店の関係者から神奈川県警察に相談がございまして、必要な警戒を行うなどの対応が取られているものと承知しております

 

有田「その後ふれあい館には模造刀・木刀も置かれているという出来事がありましたね

 

警察庁立川審議官「お答えいたします。お尋ねにつきましては神奈川県警察において、これまでに発生した事案との関連性があるかどうかも含めて、所要の捜査を行っているものと承知しておりますが、それ以上の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきます

 

有田「そんな官僚答弁は予想はしてたけれども、現場の警察官は本気で捜査警備やってるんですよ。ものすごく温度差を感じざるを得ない。模造刀・木刀があった時だって、5人の警察官の鑑識の方々は本気で調べてらっしゃるんだけど、答弁になれば『お答えは控えさせていただく』という。そこがね、血が通ってないんですよ。
川崎市ふれあい館の利用人員、ざっと去年に比べて2月で3551人も来館者が減ってるんですよ。どういう特徴かというと小学生が1631人入ってる中学生538人減ってる。乳幼児はそのお母さん達お父さん達が連れていらっしゃるが365人減ってる。合計3551人も去年に比べて減ってるという異常な事態が続いてるんですよ。そして今でもこの時間にもふれあい館には子供たちがいるでしょう。その子達はこういう脅迫状が来てから、例えばふれあい館の外に置いてあった自転車が風で倒れてバタンという音がしたら、みんなドキッとする。そして救急車両などが近くを通ればみんなドキッとしてる。どうして私たちは在日韓国朝鮮人であることで殺されなきゃいけないの。子供たちがそういうこと親に不安を訴えてるという現実がずっと続いているんですよ。文字の上だけだったらわからない生身の人間の苦悩がずっと続いているから、そのことを現場の警察官は知ってくださってるから、捜査も警備も一生懸命やってくださってる。そしてそういう脅迫状が届いた川崎市市長、川崎市議会は人間としての言葉で非難の言葉を発する。これが政治家でしょう。そのことを大臣にも求めたい。
ヘイトスピーチ解消法が出来てから、今では通知をしない批判の街宣活動などが行われている。川崎の駅前ではずっと川崎市に対する攻撃の街宣が行われてる。警察官が一生懸命警備なさってくれてます。私はその現場になるべく行くようにしています。ヘイトスピーチ解消法が出来てからも街宣が続いてるから、川崎市は罰則付きの条例を全国に先駆けて作った。それに続こうと相模原も今準備をされている。そして3月には川崎市川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例解釈指針という104ページものものすごく詳細なガイドラインを作られて、表現の自由を阻害しないようなやり方がどうできるのかってことを、ずっと専門家も含めて検討されてきた。だからこそ川崎市そしてふれあい館にさきほど示したような異常な脅迫文が届いてる。二通目なんかレイプ予告まで入ってる。異常です。そういうことが今も川崎市で続いてるんです。
人権擁護局長にご存知でしたら伺いたいんですけれども、淳差別撤廃委員会が2013年に『人種差別撤廃委員会 一般的勧告35 人種主義的ヘイトスピーチと闘う』という 詳細な文章を発表されておりますけれども、そこにおいて公人の役割について示してる文章がありますけども、当然ご存知ですよね

www.hurights.or.jp


人権擁護局長「ご指摘の文書は2013年平成25年9月26日人種差別撤廃委員会が一般的勧告35としてまとめたものであるというふうに承知しております。その文書の37番目のパラグラフにおきまして次のとおり規定されている(以下読み上げ)」
<参考>
「37.上級の公人がヘイトスピーチを断固として拒否し、表明された憎悪に満ちた思想を非難すれば、それは、寛容と尊重の文化の促進に重要な役割を果たすことになる。教育的方法と同様に有効なのは、異文化間対話の促進を、文化としての開かれた議論と制度的対話手段をとおして行うことであり、さらには、社会のあらゆる場面で機会均等を促進することであり、これらは、積極的に奨励されるべきである。」


有田「今年の1月20日に『卑劣な在日コリアン虐殺宣言年賀状許さず国に緊急対策を求める声明』、外国人人権法連絡会が内閣総理大臣安倍晋三法務大臣森まさ子様という要望書を出しておりますけれども、大臣、これ読まれましたよね」


在日コリアンに対する相次ぐ卑劣な犯罪予告に対して、政府に緊急対策を求めます

www.change.org

 

法務大臣「はい読みました」

 

有田「政府は直ちに今回の脅迫状を強く非難し、このようなヘイトスピーチヘイトクライムを決して許さないとの声明を出してほしいというお願いをしてます。もう一度、最後にお聞きをします。今年の1月初めに川崎市ふれあい館に来た年賀状の文言『謹賀新年 在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう、生き残りがいたら残酷に殺していこう』これは先ほど人権擁護局長が示されたようにまさしくヘイトスピーチですけれども、大臣、そうですよね

 

法務大臣「抹殺しようとか殺していこうという文言、また早く日本から出て行けとかゴミだというような文言は、ヘイトスピーチであると思います

 

有田芳生川崎市ふれあい館に集中的に攻撃が行われてるこの年賀状について大臣の強い非難のメッセージをお願いします」

 

法務大臣「個別の事件について法務大臣である私が個人的な評価を言うことは適当でないのかもしれませんが、委員のご指摘なさった『抹殺しよう』とか『殺して行こう』とか様々な言葉、そして子供たちの思いについても今委員から教えていただきました。このようなヘイトスピーチに対しては、断固として許さないという姿勢を法務省は貫いていこうと思います

 

<参考>

odd-hatch.hatenablog.com

odd-hatch.hatenablog.com

画像

 

2020/3/25

ヘイト「断固許さず」 川崎市ふれあい館脅迫で非難 法相
社会 神奈川新聞  2020年03月25日 05:00

在日コリアンの虐殺宣言や爆破予告など、川崎市川崎区の多文化交流施設「市ふれあい館」を標的に続くヘイトクライム(差別に基づく犯罪)について、森雅子法相は24日、「ヘイトスピーチであり、断固許さない」と非難を表明した。参院法務委員会で有田芳生氏(立憲民主)の質問に答えた。個別の案件に法相が見解を示すのは異例。/ 森氏は年明けに同館へ送りつけられた脅迫年賀状のほか、新型コロナウイルスにかこつけ今月上旬、横浜中華街に届いた差別封書の文言を挙げ、「抹殺しよう、殺していこう、早く日本から出て行け、ごみだという文言はヘイトスピーチだ」と明言。「個別の事件への評価は適当ではないかもしれないが」と前置きした上で「このようなヘイトスピーチに対し、断固として許さないという姿勢を法務省は貫いていく」と述べ、非難と根絶に向けた態度を明確に示した。/ 森氏は質疑の当初「個別の事件への表明は難しい」と一般論を繰り返した。これに対し、有田氏は「公人はヘイトクライムに立ち向かう責任がある」と具体的な非難声明を求めた。/ 在日コリアン集住地区にあって、差別解消のために設置された同館への攻撃が地域社会に緊張を強い、利用者が激減するなど被害が継続している深刻な現状を紹介。「子どもたちは『なぜ在日だからといって殺されなければならないの』と訴えている」。川崎市長や市議会議長名による非難声明にも言及し、「生身の人間の苦悩を知るからこそ現場の警察官も懸命に捜査している。大臣にも人間の言葉を求めたい」と迫った。/ 踏み込んだ答弁について森氏は神奈川新聞社の取材に「本当に許されないと思った。特に子どもたちの話に胸が痛んだ」と話した。/ この日の審議ではヘイトスピーチ解消法の発議者である矢倉克夫氏(公明)からインターネット対策を含む防止策を求められ、「ネット対策については国会の議論を見守っていきたい」と前向きな姿勢ものぞかせた。」

www.kanaloco.jp