【2020/7/1】川崎市、差別根絶条例が全面施行に ヘイトへ刑事罰を適用

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【2019/6//5】 川崎市、ヘイトスピーチに全国初の罰則付き条例へ の続き

 

2020/7/1 

川崎市、差別根絶条例が全面施行に ヘイトへ刑事罰を適用

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極右政治団体日本第一党」のヘイト街宣に抗議する日下部将之さん(左)。市民団体「東京給水クルー」代表を務め、ヘイトスピーチに抗議するカウンター活動に取り組んできたが、6月27日、脳出血で急逝した=2月9日、JR川崎駅東口


「あらゆる差別を禁止し、根絶を掲げる「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が1日、全面施行され、ヘイトスピーチに対する刑事罰の適用が始まった。差別を犯罪として規制する法令は法律を含めて初めて。市の勧告、命令に従わず外国にルーツのある市民を標的に差別的言動を繰り返した人物・団体に最高50万円の罰金を科す。/ 規制対象の言動は、特定の国や地域の出身を理由に地域からの退去や危害を加えることを扇動したり、侮辱したりするもの。ヘイトデモ・街宣を想定し、公共の場で拡声器などを使って行われたものに限り、日常生活での言い争いや政治的主張歴史認識の表明は基本的に対象外とした。/ 違反する言動があった場合は勧告、命令、公表・刑事告発と進み、それぞれの段階で有識者の審査会に意見を聴く。市の告発を受け、検察庁が起訴か否かを判断し、最終的に裁判所が有罪か無罪かを決める。市は「一行政機関の恣意(しい)的な判断にならないよう二重三重のチェックを経ることから、表現の自由には抵触しないと考える」としている。/ 市内では2013年から在日コリアンを排斥するヘイトデモ・街宣が繰り返され、市は啓発や教育では抑止できないと判断。「居住する地域において平穏に生活する権利の保護」を掲げて刑事罰の導入に踏み切った。条例は昨年12月、市議会の全会一致で可決・成立した。」

https://www.kanaloco.jp/article/entry-397412.html

 

2020/7/2

ヘイト条例 全面施行で市民団体「喜び、感謝し、祝福」 ネット書き込み対策に期待
 川崎市が一日に全面施行した、ヘイトスピーチ(憎悪表現)に罰金刑を科す全国初の条例「差別のない人権尊重のまちづくり条例」。ヘイト対策を求めてきた市民団体が歓迎の声を上げた一方で、条例の効果を懐疑的にみる人もいる。 (大平樹)
 ヘイト対策条例を求めてきた市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」のメンバーたちは市役所で会見した。代表の関田寛雄さんは、一九七〇年代の日立就職差別裁判に始まる市内の在日コリアンに対する差別解消の歴史に触れ「喜び、感謝し、祝福している」と条例の全面施行を歓迎した。/ 一方で、関田さんは朝鮮学校が国の授業料無償化の対象外とされていることを「民族的差別」と指摘し、改正を求めていく考えを示した。また、インターネット上のヘイト書き込みへの対応を今後の課題に挙げ「発信者を特定し、差別を根絶する技術を開発してほしい」と望んだ。/ 市内在住の在日コリアン三世崔江以子(チェカンイジャ)さん(47)は、条例に基づいて市が二日に初会合を開く「差別防止対策等審査会」に、自身へのネット上のヘイト書き込みデータ約三百件を提出したことを明らかにした。「ネット上の人権被害に遭っている人たちに、守られているんだという希望を届けたい」と語り、審査会での議論と市の具体的な対策に期待を込めた。/ ネットワーク事務局の山田貴夫さん(71)は、新型コロナウイルスの感染拡大により、横浜中華街で中国人へのヘイトスピーチが起きたことから「条例が他都市にも広がってほしい」と話した。ネットワークは黒岩祐治知事に条例制定を要請する準備を進めているという。
外国籍職員の業務制限「差別を固定化」 就職差別裁判闘った朴さん
 「内なる差別を放っておいてはヘイトスピーチもなくならない」。一九七〇年代の日立就職差別裁判で勝訴した在日コリアン二世の朴鐘碩(パクチョンソク)さん(68)=横浜市戸塚区=の見方は厳しい。川崎市に人種差別全般を禁止する条例制定を求めているが、今回の条例では不十分とみる。/ 朴さんは、外国籍の職員が就ける業務を制限している市の対応は差別だと指摘し、改正を求めている。/ 市は一九九六年、全国に先駆けて、採用する職員の国籍条項を撤廃したが、任用面では特殊な扱いを続けている。/ 課長級以上の主要ポストには就けないほか、市税徴収や生活保護認定などの業務には携わることができない。市採用の教員は教頭や校長といった管理職に昇進できない。/ 内閣法制局が五三年に示した国家公務員の任用に関する見解を下敷きにした「川崎方式」として大規模自治体に影響を及ぼした経緯もある。/ 在日コリアンであることを理由にした内定取り消しは差別だとした日立就職差別裁判の判決から四十六年。朴さんは「川崎市の職員任用方法は差別を固定化させている。まず市が外国人差別をやめるべきだ」と訴えた

www.tokyo-np.co.jp

 

2020/6/30

「差別のない街の見本に」川崎ヘイト禁止条例 7月1日全面施行 在日コリアンの思い
「外国出身者やその子孫に対するヘイトスピーチのデモに全国で初めて刑事罰を科す川崎市の人権条例が7月1日、全面施行される。これまで「日本から出て行け」などと攻撃を受けてきた在日コリアンは、施行の日をどのような思いで迎えるのか。同市で暮らしたことのある当事者を記者が訪ね、期待や課題を聞いた。【洪玟香】

 施行されるのは「差別のない人権尊重のまちづくり条例」。道路や公園など公共の場で①居住地域から退去させることを扇動・告知②生命や名誉、財産などに危害を加えることを扇動・告知③人以外のものに例えるなど著しく侮辱――する言動が罰則の対象となる。市長の勧告、命令に従わない場合は捜査機関に告発でき、有罪と判断されると最高50万円の罰金が科される。/ 「街中にとどろいていたヘイトデモが減り、目に見える差別が少しずつ減れば、子どもは安心して学校に通えるようになるのではないか」。在日コリアン3世の会社員、孔連順(コンリョンスン)さん(59)に条例の意義を尋ねると、真っ先に「子ども」への影響を口にした。自らの学生時代の体験を振り返り、同じ思いをさせたくないと強く願うからだ。/ 日本の小学校に通っていた小学4年の春、親に突然「おまえは在日コリアンなんだよ」と告げられた。直後に東京都内の朝鮮学校編入することになり、クラスメートに別れのあいさつをする際に在日コリアンであることを明かした。/ 翌日、いつもの遊び場に行くと、前日まで一緒に遊んでいた友人が逃げるように自分から離れていった。「朝鮮人」「中国人」。耳を疑うような言葉を投げつけられた。それ以降、2歳年下の弟と家の中で遊ぶようになった。/ 朝鮮学校に通い始めて1カ月が過ぎた頃のことだ。初めて買った定期券を持ちバスに乗り込もうとすると、運転手がいきなり目の前で定期券をビリビリに破った。それが何を意味するのか、10歳では分からなかった。悪意だけは確かに伝わり、恐ろしかった。親が持たせてくれた小銭を握りしめ、次のバスを待った。/ 小6から結婚するまでの15年間、川崎市高津区で暮らした。友人がいるコリアンタウンでヘイトデモがあり、何度か足を運んだ。街のあちこちで「朝鮮学校を守ろう」と書かれたのぼりが立っていた。地域が「差別はいけないんだ」と闘う姿勢を示したが、ヘイトデモはなくならなかった。/ 孔さんは、条例が外国籍である自分たちを「市民」と明記したことに希望を感じている。「どんな国籍や背景を持っていようと、人として対等であるということを証明してくれた。日本人がヘイトスピーチの背景にある差別を自分たちの課題として意識する土台になるのでは」と考える。/ 課題は、インターネット上の書き込みといった「目に見えない差別」への対応だと思っている。条例では「拡散防止措置を取る」と明記しているが、罰則の対象外となったため、どこまで効果があるかは未知数だ。目に見えない差別が横行すれば、差別的言動の舞台が入れ替わるだけに過ぎない。/ 小4の時に友人たちが離れていった話には後日談がある。数カ月後、その出来事を知った日本の学校の担任にたしなめられた子どもたちが、孔さんの自宅に謝りに来たのだ。「いじめによって自分が在日コリアンであることを自覚したし、そんな自分を救ってくれたのもまた日本人だった」。不安は尽きないが、希望は捨てない。」

mainichi.jp

 

 

2020/7/7

実効性ある運用約束 市と市民団体が意見交換
 あらゆる差別の禁止と根絶をうたい、1日に全面施行された「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」を巡り、市と市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は6日、運用の在り方について意見交換した。市民ネットワークからは条例への期待と実効性のある運用を求める声が寄せられ、市は改善や適切な対応を約束した。

https://www.kanaloco.jp/article/entry-402172.html から

 

min.togetter.com

 

2020/7/17

ヘイト条例抵触の発言なしと市長 川崎で施行後初の街宣

川崎市で12日に行われた街頭宣伝を巡り、福田紀彦市長は17日の定例記者会見で、ヘイトスピーチに罰則を科す全国初となる条例に「抵触する発言はなかった」との認識を示した。今月1日に条例が全面施行されてから、大規模な街宣が行われた初のケースだった。/ JR川崎駅前で、政治団体の関係者らが演説。複数の市職員が条例違反の内容がないか立ち会って確認した。福田市長は「禁止規定にあてはまる発言はなかった」と指摘し、今後も条例に沿った運用を徹底すると述べた。/ 条例は、日本以外の特定の国や地域の出身者を対象に、公共の場での拡声器やビラを使った差別的な言動を禁止している。」

this.kiji.is

 

「罰則規定の発言なかった」 ヘイト街宣で川崎市長が見解
ヘイトスピーチ刑事罰を科す全国初の条例が施行された川崎市で差別扇動団体が12日に行ったヘイト街宣について、福田紀彦市長は17日の会見で、「条例の効果がどの程度あったか判断は難しいが、発言者は発言に気を付けていたと思う」と述べた。その上で、罰則規定に抵触する発言はなかったとの見解も示した。/ 街宣は極右政治団体日本第一党」党員の渡辺賢一氏が立ち上げた団体がJR川崎駅前で行い、差別活動家らが演説。市職員が条例に基づいて現場で発言を記録した。市長は「報告を受けている範囲では(罰則規定の)12条に規定している発言はなかったと聞いている」と話した。/ 市人権・男女共同参画室によると、発言や掲げられたのぼり旗の内容を精査している段階で「12条に違反してはいないが、差別のない川崎市をつくるという条例の趣旨に反するものがあったのではないかという認識は持っている」という。」

https://www.kanaloco.jp/article/entry-413538.html

 

2020/10/9

川崎市、差別ツイートの削除要請へ ヘイト禁止条例で初
大平要 2020年10月9日 15時31分

川崎市が、ヘイトスピーチを禁止する市条例にもとづき、市内に住む在日コリアン3世の女性を標的にしたツイッターへの投稿2件について、近くツイッター社に削除要請を行う方向となった。7月に全面施行された、公共の場でのヘイトスピーチ刑事罰を科す「差別のない人権尊重のまちづくり条例」に基づく初めての手続き。/ 同条例は、ネット上の差別的言動については刑事罰の対象外としつつ、有識者で構成される「差別防止対策等審査会」に市長が諮問して意見を聴き、審査会の答申を踏まえて拡散防止措置や内容の公表を行うとしている。/ 審査会は、7月に市から諮問された投稿9件について審議してきた。その結果、投稿9件すべてが、「不当な差別的言動」にあたるとし、このうち現在でも閲覧できる2件について「削除要請するのが適当」と判断。9日、削除を要請するよう市に求める答申をまとめた。/ 審査会の吉戒修一会長(元東京高裁長官)は「条例の最初の運用ということだが、趣旨に沿った結論になったと思う」と述べた。(大平要)」

www.asahi.com