【2021/12/13】大阪市ヘイトスピーチ審査会が、ヘイトスピーチ認定した2018年のチラシ配布者の氏名を公表

本日(2021/12/13)午後2時、大阪市ヘイトスピーチ対象条例に基づき設置されている大阪市ヘイトスピーチ審査会が、大阪市長に対して、「川東大了」をヘイトスピーチをおこなった者として公表する旨答申しました。

https://twitter.com/MEHRECPE/status/1470650093716262915

 

2021/7/28に大阪市はチラシ配布をネイスピであると認定した。

odd-hatch.hatenablog.com

 

 

2021/8/23

氏名公表に係わる大阪市長の諮問書

https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/cmsfiles/contents/0000366/366957/shimonsho_H30-3_H30-S6.pdf

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案件番号「平 30-3」及び「平 30-職6」について
1 表現の内容の拡散を防止するためにとる措置の内容
後述2の(1)記載の表現活動については、後述2の(3)に記載のとおり、平成 30 年 12 月 29 日に行われたものであり、既に表現活動が終了していることから、表現の内容が拡散することはないため、特段の措置はとらない。

2 公表の内容
(1) ヘイトスピーチに該当する旨の認識
平成 30 年 12 月 29 日に、大阪市生野区鶴橋の住宅街において、チラシ状の印刷物(以下「本件チラシ」という。)を戸別配布等の手段により多数配布した行為(以下「本件表現活動」という。)は、条例第2条第1項に規定するヘイトスピーチ(以下単に「ヘイトスピーチ」という。)に該当する。

(2) 本件表現活動に係る表現の内容の概要
本件チラシには、「在日韓国・朝鮮人は約 50 万人程居住しており、その多くは犯罪を犯しても強制送還されない特権=特別永住資格を与えられております。その為に在日は安心して犯罪を犯します。」、「朝鮮人の犯罪は突出して多く、極めて危険な存在となっております。『朝鮮人は危険だ』と私は堂々と主張しています。そして、安心して暮らせる日本の為に『日本から追い出せ』とも主張しています。」、「私に残ったのは前科と莫大な賠償金です。しかし、何の後悔もありません。」、「五体が動く限り、愛する祖国のために朝鮮人と戦い」等と記載され、また、本件表現活動者の運動歴として、朝鮮学校への抗議活動が威力業務妨害罪に当たる等として逮捕され有罪判決を受けたことや、当該朝鮮学校から提訴された民事訴訟において多額の損害賠償を命じられたこと等が記載されていた。
※ 当該内容はヘイトスピーチに該当するものであるが、当該内容を一般市民に周知することによって、ヘイトスピーチの問題に関する一般市民の理解を促進し人権意識をより一層高揚させ、ヘイトスピーチの抑止につなげるとともに、本市が条例に基づき公正にヘイトスピーチに該当すると認定したことを示す観点から公表するものである。

(3) 本件表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するためにとった措置の内容
本件表現活動については、平成 30 年 12 月 29 日に行われたものであり、2の(2)記載の表現の内容が拡散することはないと認められるため、特段の措置はとらないこととした。

(4) 本件表現活動を行ったものの氏名
川東 大了(朝鮮人のいない日本を目指す会代表者)

 

 

2021/12/13

大阪市ヘイトスピーチ審査会の答申書

https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/cmsfiles/contents/0000366/366957/toushinsho_H30-3_H30-S6.pdf

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答申(拡散防止の措置及び公表内容)〔平 30-3及び平 30-職6〕
第1 審査会の結論
本件諮問に係る諮問書の別紙(以下「諮問書別紙」という。)の内容については、妥当なものと認める

第2 結論に至った理由
1 申出人等からの意見等
(1) 申出人
ア 意見書及び有利な証拠の提出について
本件表現活動に係る申出人(以下「申出人」という。)に対しては、相当の期間を与えて、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(以下「条例」という。)第9条第2項に基づく意見書及び有利な証拠の提出機会を付与したが、これらの提出はなかった。
イ 口頭での意見陳述について
申出人にアの意見書及び有利な証拠の提出機会を付与する旨の通知をする際には、併せて、条例第9条第3項に基づく申立てがあれば、口頭で意見を述べる機会を付与する旨通知したところ、口頭で意見が述べられた。
申出人の意見は、概ね次のとおりである。
・一連の行動から、本件表現活動を行ったもの(以下「本件表現活動者」という。)は全く反省しておらず、ほとぼりが冷めたらまた鶴橋にやってきて、同じ行為を行うであろうことは明らかである。
・条例ができ、ヘイトスピーチが悪いことである、と日本人も行政も認めてくれているということは、当事者にとって非常に支えになっている。
・本件表現活動者にとって、世の中にその名前を知らしめるという何らかの利得があるかもしれないが、それ以上の抑止効果があると確信しているので、氏名公表してもらいたい。
・二度と在日コリアンが多く在住している鶴橋、生野区の地域でそのような行動をしてはならないと本件表現活動者が強く思うように、氏名公表を含めた断固とした措置の答申をいただきたいと思っている。

(2) 本件表現活動者
ア 意見書及び有利な証拠の提出について
本件表現活動者に対しては、相当の期間を与えて、条例第9条第2項
に基づく意見書及び有利な証拠の提出機会を付与したが、これらの提出はなかった。
イ 口頭での意見陳述について
本件表現活動者にアの意見書及び有利な証拠の提出機会を付与する旨の通知をする際には、併せて、条例第9条第3項に基づく申立てがあれば、口頭で意見を述べる機会を付与する旨通知したが、本件表現活動者から同申立てはされなかった。
2 表現の内容の拡散を防止するためにとる措置について
諮問書別紙の1に記載された表現の内容の拡散を防止するためにとる措置の内容は、既に表現活動が終了していることから、表現の内容が拡散しないことも踏まえると、適当であると認める。

3 公表の内容について
(1) ヘイトスピーチに該当する旨の認識について
諮問書別紙の2の(1)に記載された内容は、大阪市ヘイトスピーチに該当すると認定した表現活動を特定するために必要な情報であるから、同内容の公表は適当であると認める。
(2) 本件表現活動に係る表現の内容の概要について
諮問書別紙の2の(2)に記載された内容は、本件表現活動が条例第2条第1項各号に規定しているヘイトスピーチに該当すると認定した根拠となるものである。
一方で、同内容を公表することで、本件表現活動により被害を受けた在日韓国・朝鮮人の方々に再度被害を生じさせるのではないかと憂慮する意見が出ることも考えられるが、同内容の公表によって、ヘイトスピーチの表現内容を一般市民に周知し、ヘイトスピーチの問題に関する一般市民の理解を促進することで、より人権意識が高揚されるとともに、ヘイトスピーチの抑止につながるものであると考えられ、また、大阪市が条例に基づき公正にヘイトスピーチ認定を行ったことを示すことにもなる。
よって、こうした公表の趣旨を付記して市民の理解を求めるよう配慮した上で、諮問書別紙の2の(2)に記載された本件表現活動に係る表現の内容の概要を公表することが、条例の目的にかなうと考えられ、他に公表を見合わせるべき特段の事情も認められない。
以上のことから、諮問書別紙の2の(2)に記載された内容の公表は適当であると認める
(3) 本件表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するためにとった措置の内容について
前記2に記載のとおり、諮問書別紙の1に記載された表現の内容の拡散を防止するためにとる措置の内容は適当なものと認められることから、諮問書別紙の2の(3)に記載された内容の公表は適当であると認める。
(4) 本件表現活動者の氏名について
条例第5条第1項は、「当該表現活動を行ったものの氏名又は名称を公表するものとする」としており、同項ただし書に規定されている例外的な事情がない限りは、表現活動者の氏名又は名称を公表する旨規定している。
しかしながら、氏名を公表された人物と同姓同名の別人が存在する場合もあり、その場合、その別人が風評被害を受ける可能性も考えられることから、氏名の公表に際しては慎重を期し、可能であれば、当該個人を、同姓同名の他者とは区別して認識できるような公表内容とするよう努める必要がある。
よって、諮問書別紙の2の(4)に記載された内容の公表は適当であると認める

4 結論
以上の次第で、第1記載のとおり判断した。