#証言記録カウンター (北海道) しゅんすけさんの場合

 

 

自分がカウンターに初めて行った時の理由って不純っちゃ不純だったし、できるだけカウンターに行こうって思ってからは「街に垂れ流されるヘイトスピーチを減らす・聞こえなくする・やめさせる」「自分のやれることをやる」くらいしか考えてない。みんな真面目だなって思う。
https://twitter.com/sunaf_kin_R/status/1447909008606564357

 

北海道反原連の人たちがおかしな奴らと戦っているらしいことをツイッターで知った。その時ですら札幌でヘイトデモがやられていたことを知らなかった。
ただただ「あんなに毎週頑張っておられる反原連の人たちにばかり戦わせるわけにはいかない」というのが最初の動機。
https://twitter.com/sunaf_kin_R/status/1491396842072207360

2015年の雪まつり開催期間中にヘイト街宣が予告されていて、当日を迎えるまでの間にようやくヘイトスピーチのことを少しずつ知っていく。
そういえば反原連のサウンドデモに対して何かしてこようとしている奴らがいるという話を小耳に挟んだことがあって、それが在特会だったということも知る。

 

togetter.com


ヘイト街宣に対するカウンターの場所に向かうことにしたわけだが、「まずは見てみよう」という曖昧な態度だった。
札幌市中心部に車を走らせているうちに、なんだか怖くなってきて、街宣場所である「ビッセ」からずいぶん遠いパーキングに車を停めた。
歩いてその場所に近づくにつれて、帰りたいという思いが強まっていった。
それでもなんとかビッセ前まで辿り着いた。
「日韓断交」と書かれた幟を持ち、大きいメガホンでしゃべっている一団がビッセ前に陣取っていた。
その20mくらいのところで警官に囲まれた5〜6人のカウンターと思しき人たち。
ヘイト側から道路を挟んだ大通公園の方の歩道あたりにもカウンターの人たちが立っていた。
僕は人数の多い対岸の方に行こうとすると、迷彩のパンツを履いていたせいか警察からヘイト側にエスコートされそうになった。
後から知ったが、「5〜6人のカウンター」の中には弁護士が2人(だと思う)いた。
対岸のカウンターの人たちに合流すると最初に目に入ったのはこちらをビデオ撮影する警官だった。気持ち悪いのと悔しいので、僕も望遠付きのカメラで撮り返すことにした。
ヘイト側は何人かの弁士が交代で喋っていたが、何を言ってるのかよくわからないのに悪意や敵意みたいなものだけは伝わってくるという気持ちの悪いもので、他のカウンターの皆さんが罵倒やおちょくりやツッコミを浴びせる中、僕は声を発することができなかった。
その時に他のカウンターの方からアメちゃんをもらったり缶だったかペットポトルだったかの温かいコーヒーをもらってちょっと気が緩んだ。
ただその日は雨混じりで風も吹く寒い日で、温かいコーヒーはみるみる冷めていった。
僕がカウンターでもらったものはアメちゃんとコーヒーだけだ。日当とは?
そうしているうちに警察車両(カマボコ)がバックしてきてヘイト側と対岸側の間に入り、視界を遮ってしまった。
後に動画を見たときに「機動隊のバスこっちに持ってきて」みたいな声が入っていて、誰が喋ったものかわからないけれど、おかしなことが起きていた。
カマボコを挟んでもなおカウンターの人たちは「お前らカマボコに守ってもらえないとしゃべれねーのか」みたいな罵倒を緩めることはなかった。
とにかく寒く、気持ち悪く、嫌な気分のまま家路についた。
何も言えなかった自分も嫌だった。
とりあえずここまでは書ける。


この後の2015.7.5のブタ来札デモにむけての様々な裏舞台のことはどこまで書いていいかちょっと悩む。


2015年6月にTwitterのDMで道内の差別団体の現状などをテーマに学習会やるからよかったら来てくださいとお誘いを受け、行くことにした。
俺的カウンタードレスコードに近い服装で行ったせいか、多少怪しまれていたらしいが、あの人は大丈夫とフォローしてくれた人もいたらしい。


2015年7月、カウンターの打ち合わせをするとDMあり。いわゆる作戦会議だった。

 

togetter.com

togetter.com


TZWさんが書いているが、警察に面が割れているメンバーはすぐに身動きが取れなくなることを想定していた。なんだこの世界はと正直思った。
囮、併走抗議、繁華街フライヤー配布、ダンマク、などグループ分けをしたと思う。
僕はデモ開始前はネットカフェに入り、ツイキャスなどをチェックしながら情報収集をした。あ、ツイキャス班もあったんだった。
デモが動き出してから某ビルに移動して、望遠のカメラでデモ隊を待ち構えた。
図らずも神輿の運行を妨害した場面を撮ることにもなる。

画像

ビルの下をデモ隊が通り過ぎてからは僕も併走、罵倒組に合流。
写真を撮りながら、警察による信号操作のせいで走らされながら、いくらか声を出して抗議した。
警察はとにかくヘイトデモ優先でカウンター阻害という態度だった。
空中横断幕を広げるとすぐに止めに入った。
それに対して「法的根拠は!」と間に入る弁護士もいた。
信号のたびにデモ隊から引き離され、事前に地下歩道をチェックしていたが思ったほど上手く使えなかった気がする。
やっと追いついたのはデモ終着地のテレビ塔下の東側だった。
そこには信じられない人数のカウンターが集まっていた。
歩行スペースの確保を呼びかけることが必要なほどだった。
創成川緑地にヘイト側。テレビ塔下にカウンターと道路を隔てた形だった。
横断歩道を渡って幾らか近い場所に陣取るカウンターもいた。中には自由法曹団の腕章をした弁護士も。
気づけば弁護士たくさんいた。
僕はテレビ塔下にいたが、隣には旭川の超絶口の悪い人がいたので、それに釣られてかずいぶん汚い言葉で罵倒に加わった。
その時は小さいトラメガで、こんなパワーじゃダメだと思い、隣の口の悪い人と同じのを買おうと決意した。
終わった後、ぐったりした。自分の口からあんな汚い言葉を吐くなんてと自己嫌悪もあった。なんせまあまあ品よく生きてきたものだから。
臆病な僕は車を地下鉄駅1個分くらい遠くのパーキングに停めていたので、しんどくてタクシーでそこに向かって、ちょっと寄り道して帰った。

 

札幌のカウンターで初めて覚えた事:寒いとバッテリーが早く減るからiPhoneの裏にホッカイロを貼る。
https://twitter.com/miyomi34/status/1491432394490277889

 

この翌月にもヘイトデモがあったし、散発的に反移民デモなどが行われ、参加者は減ったり新顔が増えたりしながら確実に規模は小さくなっていった。
新顔が次のデモに来ることはかなり少なかった。口の悪い人がアレしちゃうから。
デモや街宣以外にもいわゆるリベラルな人たちが主催する企画に対して、Facebookで告知されたイベントページにヘイターが参加ボタンを押すという奇妙な嫌がらせが続いた時期があったし、実際にその場に来てカウンターの人に撃退されたりした。
札幌のカウンターが緩くつながるグループに相談が寄せられることもあり、応えたり応えなかったりした。結構応えちゃってたかも。
よーこさんに嗜められたことがあったように記憶している。
そんなふうにしてザイトク界隈はリベラル的な人たちをどんどん敵にまわしていったと言えるのではないか。
何がきっかけか僕にはよくわからないけれど、2016年の雪まつりではヘイトデモをやらせないぞという気運が高まっていく。
映画「ヘイトスピーチ」の上映と泥憲和さんをゲストスピーカーに招いた集会が行われ、参加者で会場がいっぱいになった。
画像
トークセッションではこれまで路上に立ってきた名もない(と言っては失礼があるかもしれないが)市民が並んだ。いやその中のひとりの弁護士は顔が知れてたりするか。
その弁護士さんが強く誘った人がそこで触発されて、道議会でのヘイトスピーチに関する質問につながったりもしたらしい。
その約1週間後には北海道内の労働団体が札幌市とさっぽろ雪まつり実行委員会に対して、この数年雪まつり会場周辺で繰り返されている「ヘイトスピーチ」(のデモや街宣)を阻止するための対策を求める要請を行った。
道内外の市民の方々が同様に電話でヘイトデモをやらせないようにと要望したことをツイッターで目にした。
雪まつり期間中のヘイトデモを止めようと様々なアプローチをするなかで、差別のない街さっぽろをアピールするポジティブなことをやろうということになり、#ウェルカムさっぽろアクション が始動する。

togetter.com


ハッシュタグを追ってもらえれば何が行われたのかがわかりますが、少しおさらいしてみる。
法務省作成の「ヘイトスピーチ、許さない。」のポスターの裏に、「札幌市でのヘイトスピーチ(差別扇動)デモ・街宣に反対します」というタイトルでヘイトスピーチとは、在特会とは等を書き連ねたフライヤーを作成。
市内中心街の飲食店や想定されるデモコースの路面店などに掲示をお願いして回った。
画像
札幌の〆パフェ有名店の方々は店内に掲示するだけではなく知り合いのお店に怒涛の勢いで配布してくれるという目を見張るようなこともあった。
フライヤーの束を手にしたカウンター諸氏は思いつく限りの場所に足を運んだ。
政党事務所や国際交流センターなどにも周知や協力要請を含めお話をしに行った。
ヘイター行きつけの飲食店に掲示をお願いするというネチネチしたこともやった。
誰か法務局にも行かなかったっけな?と思うのだが記憶が定かでない。
ヘイトデモが行われたら監視して実態把握しなさいと話しに行かなかったっけ?
忘れた。
#ウェルカムさっぽろアクション は土日と祝日の3日間、大通西3丁目のビッセ前で行った。
前年にヘイト街宣が行われた場所。
受け取りやすいであろうサイズのフライヤーはC.R.A.C. NORTHのまとめによると3日間で6000枚配布したと記録されている。
画像

表裏の画像を見つけたので貼っておく
画像画像
4カ国語でアナウンスを流しながら走る宣伝カーが2台。これは驚いたしすごかった。ドライバーさんを含め感謝の一言です。

画像
国会議員、道・市議会議員、アーティストなど様々な方から賛同メッセージが寄せられた。
ビッセ前には上田前札幌市長や香山リカさん、札幌市議や弁護士、教職員組合の方など沢山の人たちがマイクを握って差別のない街をと訴えた。
風船を配るのも良かったと思う。雪まつりらしかった。僕が子どもだったら雪まつりに来てこういう風船もらったら嬉しいな。
画像
雪が激しく降る日もあったが、みんなポジティブに見えた。
たくさんの笑顔が見れた。
2016年はこのアクションも含めてのさっぽろ雪まつりだったと言ってもいいだろう
画像
道外から参加してくれた方がいたのも嬉しかった。
その何人かは一緒にラーメンを食べに行ったりもして、いい時間だった。
ビッセ前から少し離れた赤レンガテラス前では日本共産党と民青同盟の皆さんが宣伝行動を行った。フライヤー配布も。
写真を撮るためにビッセ前から走った。
画像
新聞にも取り上げられた。

f:id:odd_hatch:20220214092305p:plain画像画像

 

togetter.com



 

 

https://twitter.com/sunaf_kin_R/status/1492189032926822408

先日からツイートしてるカウンターの振り返りであえて書かないようにしてたことがある。けどちょっと書く。
僕はうまいこと抗議はできないけど写真なら撮れる、と思ってヘイトデモや街宣の時はカメラを必ず持っていくようにした。というかカメラだけあればよかった。
自分ができることをやる、これが僕の役割、と思ってた。
写真を撮ることが第一だったのでリュックの中に一応入れていたのは小さくてパワーのないトラメガだったし。
ある時から機転も効くし声大きいし写真もうまいし体格もいいとあるカウンターの人が路上から姿を消した。
僕が勝手に気負ってしまっただけなんだが、その人が担っていたものをいくらかでもやらなきゃって思ってしまった。
カウンターの中に跳ねる人はいないか気を配ったり、声の抗議を厚くした方がいいと判断すればリュックからトラメガを取り出して罵倒に加るし、周囲から何が起きているかわかった方がよさそうな場所ではプラカを掲げた。警察の動向を見て叱りつけたり交渉した
写真を撮るのも大変になってきた。
ヘイターの顔を記録したり、身体接触が起きそうな時には証拠保全したいし、どのように抗議が行われたのか可視化したいし、できればカウンターはかっこよく撮りたいし。
撮った写真はカメラからWi-Fiスマホに飛ばしてなるべく早くツイッターで発信するようにしたい。
そんなことをやってたら「内なる差別」とか考えられない。もういっぱいいっぱい。
やらなきゃ思ってたことは沢山あったけど、結局ヘイターを嫌な気持ちにさせて次回来たくなくさせるっていうのが主眼だったりして、あれダメこれダメって言われるとじゃあ頻繁にヘイトでもやられて人数も減らないって状況は問題ないん?って思う。
北海道は皆さんがいろんな動きをして、削って削って100人を超える規模から20人くらいに減衰させたんだよ。