数字で見る2022年のヘイト行動

数字で見る2021年のヘイト行動の続き

 

2021/12/28の#NoHateTV「Vol.201 - 2022 TOP 10/最悪ヘイト王決定戦」では、昨年同様、差別団体やレイシストは最悪ヘイト王にも、ヘイトTOP10にも入りませんでした。

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(この回では「ネトウヨやらかし大賞2022」の企画もありました。ブログ主が選定したノミネート作品と大賞が発表されていますので、ご覧ください。だいたい頭出し済です。)

この回では、安田さんが「在特会はもはや必要としない社会になった。私たちの社会は『死ね、殺せ』と怒鳴りながら練り歩く隊列を必要としないほどに社会が差別化している。かつての在特会と同じことを私たちはしている。『死ね、殺せ』という言葉を必要としないでも十分に差別的である。平場の差別、日常生活の差別の方がワッペンをつけた隊列よりも怖い局面がある」と発言しました。この発言通りの実感があるわけで、#NoHateTVは平場の差別、日常生活の差別を扱っています。

このブログでは、差別団体を扱います。差別団体の動向は日本のヘイトスピーチ問題のなかでは相対的に小さくなりましたが、根絶したわけではありません。差別団体のヘイトデマはあっというまに平場の差別、日常生活の差別に拡がります。そこで、差別団体の動向をみていきましょう。

 

1.ヘイト選挙

主なヘイト候補の当落結果です。日本第一党の立候補者は全員落選しました。くつざわ亮二の日本改革党、鈴木信行の日本国民党などの地方ヘイト政治団体、新党くにもり(頑張れ日本、チャンネル桜)の立候補者も落選。NHK党も凋落傾向です。
一方で、オーガニック右翼の参政党が国政選挙、地方選挙で当選者を出しています。

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日本第一党も元在特会幹部も、当選することは眼中になく、ヘイトスピーチをすることと韓国・朝鮮・中国施設前などで嫌がらせをすることが選挙の目的になっています。悪質なヘイトスピーチが各地で繰り返されました。

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2.自治体・裁判所によるヘイトスピーチ認定

東京都が3回認定しました。認定されたのは以前に認定された人物と団体です。認定は抑止効果がありません。罰則が必要です。

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3.機会に便乗したいきあたりばったりのヘイト活動

人の注目を集めているヘイト案件があると、便乗してヘイト行動を行います。イベントが終了して人の関心がなくなると、行動はやめてしまいます。今年は、「表現の不自由展」、ヘイト米穀店、旧統一教会などが利用されました。

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ヘイトスピーチ禁止条例や外国人住民投票条例では、差別団体や極右から悪質なヘイトスピーチが繰り返されています。特定個人をターゲットにした誹謗中傷も行われています。

機会に便乗して差別のターゲットを拡大しています。コロナ禍の外出制限入国制限の緩和によって外国人は「出て行け」から「入れるな」というようになりました。東京都の外国人支援政策から「外国人労働者を優遇するな」と言い、国費留学生制度を曲解して「外国人留学生優遇反対」とヘイトデマを飛ばしています。自治体が認めたイスラム墓地建設に「土葬は伝統ではない」とデマで反対しています。
(2022/6/27(月)に日本第一党は「選挙活動」にかこつけて、大分県日出町でイスラム墓地反対の街宣を行った。)

【2022年夏】参議院選挙に立候補した日本第一党の選挙活動の様子(6/22~7/3) - min.t (ミント) (togetter.com)

 

4.小ネタ

日本第一党では、党首のスキャンダルに批判があったり、古参幹部が離党して、内紛が起きています。反桜井誠で元在特会が組織がつくられましたが、2か月でばらばらになりました。
関西の右翼団体で、在特会と一緒にヘイト活動に参加していたものが新型コロナの時短協力金を詐取で逮捕されました。

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<参考>
【2021/9/3】福岡市で「休業支援金」詐取容疑で男女3人逮捕 容疑者は日本第一党副党首(メモ)

上の「外国人留学生優遇反対」のネット署名を日本第一党が始めたところ、署名サイトに批判と削除要請の通報がたくさん集まって、数日で規約違反で消されました。

 

 

これから国内で行われたヘイト行動の集計を公開します。ただし相当な漏れがありますので、そこはご了解ください。たとえば神奈川県相模原市のヘイト活動は地元の記者によると82回ですが、自分の記録では57回でした。差異がありますが、記者の記録と照合することまでやっていないので、自分のデータベースの数字のままです。

 

 

地域別のヘイト行動件数推移

2012年は4月以降の数字なので少なく見えます。1-3月分の推測値を入れると、350-370件になると思います。
2021年もコロナ禍による緊急事態宣言や外出制限などがありましたが、関東(特に首都圏)の件数が増えました。また地方や国政の選挙にヘイト候補が立候補したので、そのエリアだけ件数が増えています。

 

種別ごとの件数推移

デモ件数は微増しました。デモの大半は関東で行われました。かつてのように「桜井誠」が主催して路上でアジることは数回だけで、このレイシストのブランドでは人が集まらなくなりました。ほとんどすべてのデモは一桁から十数人程度の人数です。いっぽう、くつざわ亮二が主催する反NHKデモや反コロナ団体のデモは100人を超える人数を集めているので、日本第一党や日の丸街宣倶楽部のようにふだんから監視と抗議を受けている団体だけが凋落しているのでしょう。
街宣が増えているのは、2023年の地方選挙で立候補者を出すらしい日本第一党東京都本部がほぼ連日、相模原市内や渋谷区内の旧統一教会本部前や駅前で街宣をしているためです。参加者は数人、誰も聞いていない街宣です。
選挙は一日当たり1件としました。同じ日に複数個所で「選挙演説」を行っても1件です。

 

地域別の種別ごとの件数推移

関東(東京都と神奈川県に集中)がほとんどです。関西と九州で激減したのは、旧在特会に関係するものが逮捕されて、活動を進めるものがいなくなったからと思います。

 

都道府県別の件数推移

ヘイトスピーチ禁止条例や外国人投票条例などが準備されているところで差別団体はヘイト活動を繰り返します。
地方選挙で立候補者を出したところでは、選挙活動を名目にしたヘイト活動が行われます。2022年では東京都、神奈川県のほか、埼玉県、千葉県と新潟県に立候補者を出したので、件数が増えています。

 

日本第一党が主催者の件数

減少傾向だった日本第一党の割合が増えました。都内(とくに渋谷区)と神奈川県相模原市日本第一党の少数メンバーが活動を繰り返したためです。それ以外の地域では日本第一党はほとんど活動していません。

 

無告知(ピンポンダッシュ)の件数と割合推移

かつては「行動する保守」カレンダーで数か月先まで告知していましたが、2020年ころからカレンダーは更新されなくなりました。SNSでもほとんど告知はしていませんし、あっても拡散していません。秋以降になると、日本第一党の東京都本部や神奈川県本部が招集を呼び掛けても、参加者は増えず、いつも同じメンバーしか来ないようになっています。

 

市区郡別の件数

すべての行動の件数です。政令指定都市では市ではなく区ごとに集計しました。そのため、下図には区の違う同じ市が繰り返し登場します。

デモの出発地になる公園や大きな鉄道駅があるところが多くなります。

 

2022年だけでみると、このとおり。

2021年は川崎駅がある川崎市川崎区がトップでした(39件)が、#川崎駅前読書会により半減しました。相模原市は昨年9件だったのが、57件(地元の記者によると82件)。ヘイトスピーチ禁止条例反対名目の活動が繰り返されています。

 

相模大野駅前で行われた日本第一党のヘイト活動では、党幹部かつ選挙の立候補者が市民に対して暴力沙汰を繰り返し起こしました。

 

集計の元データはこちら

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