【2022/3/8】(火) 参院法務委員会 有田芳生議員の質疑聞き取り(ヘイトクライムにどう対処するか ヘイトスピーチからヘイトクライムへ)

※ 以下はgoogleドキュメントの音声入力による聞き取りを編集したものです。発言を正確に文章にしたものではありません。
※ テキストはヘイトスピーチを含みます。閲覧の際はご注意ください。

 

画像

画像

www.webtv.sangiin.go.jp

 

有田芳生議員
差別的な動機による犯罪について伺いたい。日本だけではなくて、この数年間、特にアメリカでもヨーロッパでも差別犯罪が広がっている。例えば、ニューヨーク市警が去年の12月に公表した数字で言いますと、一年前に比べてヘイトクライムが28件から129件に増えている。サンフランシスコでも、一年間で9件から60件に増えている。ヘイトクライムは、警察が捜査をして明らかになるだけではなくて、自分から訴えると言う件もありますから。普通は訴える方は実際の10%から30%だと言われていることを考えると、世界に差別犯罪が今広がりつつある。バイデン大統領も副大統領もヘイトクライムの現場に行って、そういうことがあってはならないんだと強く非難する。同時に、たとえばアメリカではヘイトクライムパンデミックで増えていった。対して新型コロナウイルスヘイトクライム法がは新しくアメリカでは作りました。その法律ができたとき、バイデン大統領の記者会見で「沈黙は簡単である。そして私たちは加担することはできない。私たちは声を上げなければならない。私たちは行動しなければならない」という批難のコメントを出された。バイデン大統領は、昨年の4月だと記憶しておりますけれども、菅義偉元総理が対談を行ないまして、共同記者会見の中でも菅総理もそういう犯罪はあってはならないんだと言うことを表明されました。日本ではヘイトクライムは許されないというスピーチが遅れていると私は思ってるんです。そこで、まず警察庁にお伺いしますけれども、京都府宇治市ウトロ地区、ウトロっていうのは、戦争中には京都飛行場が作られていて、そこに朝鮮人が動員をされて飯場になって、戦争が終わってから、在日朝鮮人の集住地区になって今に至っているんですが、去年の8月30日にそこで事件が起きました。警察庁説明していただけますか?
警察庁長官官房森本審議官
お答え申し上げます。委員ご指摘の事件でございますけれども、令和3年8月30日、京都府宇治市伊勢田町ウトロ所在の家屋に火を付け、七棟を焼損させた建造物放火事件でございます。

有田芳生議員
7月24日、愛知県でも同じような事件が起きてますね。
警察庁、森本審議官
お答えいたします。委員ご指摘のとうり、昨年7月24日、愛知県名古屋市中村区所在の在日本大韓民国民団、愛知県地方本部および学校法人愛知韓国学園名古屋韓国学校におきまして、それぞれ建物の一部に火を付け、焼損させた器物損壊事件も発生してございます。

有田芳生議員
それでは7月29日、奈良県大和高田市の在日本大韓民国民団支部で何が起きましたか?

警察庁、森本審議官
お答え申し上げます。昨年7月29日、奈良県大和高田市日の出東本町所在の在日本大韓民国民団、奈良県地方本部かつ支部建物敷地内におきまして。点火された着火剤用のものが発見されたものでございます。この点につきましては、現在奈良県警察において捜査中でございますので、事件の詳細はお答えを差し控えさせて頂きます。

有田芳生議員
この一連の事件について、被疑者は逮捕されましたよね。
警察庁、森本審議官
お答えいたします。京都府京都府宇治市の事件と愛知県名古屋市の事件におきまして検挙されております。同一犯でございます。これらは、この二つの事件は、いずれもそれぞれの地方検察庁に送致してございます。

有田芳生議員
私は、この宇治市のウトロに去年の12月に行ってまいりましたけれども、どういう被害がありましたか?
警察庁、森本審議官
お答え申し上げます。具体的な被害の詳細につきましては、差し控えさせていただきたいと思いますけれども、家屋七棟が焼損致しまして、ウトロ記念館で展示を予定していた保管品などが焼損したというふうに承知しております。

有田芳生議員
普段ならば二人のお子さんがいる時間帯だった。たまたま外に出ていて命も奪われることはなかったんだけれども、本当にあっというまに火が回ってしまったと言うとんでもない事件が起きました。この逮捕された人物は22歳病院勤務だった。この動機について。どのように報道されてますか?
警察庁、森本審議官
お答えいたします。お尋ねの件につきましては、さまざまな報道がなされているものと承知をしてございますけれども、報道内容につきまして、警察の方からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

有田芳生議員
端的に言って「韓国人が嫌いだった」というのが動機と本人はいっている。朝日新聞大阪本社の記者がこの本人に直接会って報道されている。それによると、「起こしたところで聞く耳は持たれないだろうし、住民の命に及ぶリスクはあっても、放火しないと伝わらない、後悔はない」と語っている。私の判断ではもう明らかな差別的動機によるヘイトクライム犯行だというふうに思います。今でも住民の方は不安な日々を暮らしておりまして、例えば住民たちの声はまた放火されるのではないかと思い、よく眠れないという。60代の女性「物事がするだけでもビクッとしてしまう」、70代男性「ネットを見て刺激された人が模倣犯になるのではないかと怖い」、40代女性「ウトロ地区出身のあの女性弁護士も現場に行って私そのものがもうこう。攻撃されているんだという恐ろしい思いをしている」「子供時代から住んでいた土地が焼かれてしまってる。だから、その恐怖っていうのは日々感じている」とおっしゃっておりましたけれども、これがヘイトクライムなんです。端的に日本でも増えてるんです。法務省に伺いますけれども、ヘイトクライムについての定義っていうのはありますか?
法務省河原刑事局長
お答えいたします。お尋ねのヘイトクライムにつきましては、政府としてその定義について、特定の見解を有していないものと承知しております

有田芳生議員
私が出した質問主意書にもそういうお答えでした。2013年にこの法務委員会でもヘイトスピーチについての議論が始まりました。そのときヘイトスピーチってなんですか?ってお聞きをした時には定義はありませんと言うことでした。その後、ヘイトスピーチ解消法が2016年にできて、法務省からこれがヘイトスピーチだとホームページにも出ている状況です。確かに法務省ヘイトクライムについての定義はないにしても、一般的な了解ってのがあるんじゃないですか?定義がわからなくても一般的に理解して言えませんか?
河原刑事局長
お答えいたします。委員ご指摘のように、ヘイトクライム、あるいはヘイトスピーチスは、世の中で使われている言葉でございますので、そういう意味での了解というものはある委員の御指摘のとうり一般的な形であるのかもしれませんが、私も政府の立場と致しましては、繰り返しでございますが、先ほど申し上げましたとおりヘイトクライムについては特定の見解してないというところでございます

有田芳生議員
ヘイトスピーチについては議論の当初は定義がなかったんだけども、今あるわけですよね。
河原刑事局長
失礼いたしました。人権擁護局のホームページ以上におきましては、ヘイトスピーチにつきまして特定の国の出身者であること、またその出自であることのみを理由に日本社会から追い出そうとしたり、危害を加えようとしたりするなどの一方的な内容の言動が一般にヘイトスピーチと呼ばれていますというような記載がある所でございます。

有田芳生議員
つまり社会問題になって行く時に定義がなくても議論が進む中で、あるいは法律ができる中で確定していくというのは、この日本における現実だと思うんです。法務省に伺いますけれども、人種差別撤廃条約第4条に人種的優越また信条に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の先導、いかなる人種もしくは皮膚の色もしくは種族的出身の異にする人の集団に対するものであるかを問わず全ての暴力行為、その後省略しますけれども、法律で処罰すべき犯罪であると宣言している。これは日本政府の義務でもある。そうすると、2017年の人種差別撤廃委員会の第11回日本政府の報告書に人種差別的動機の刑法上の取扱いについて、日本政府の回答とはどういう内容なんでしょうか?
河原刑事局長
お答えいたします。ご指摘の報告書におきましては人種主義的動機は、我が国の刑事裁判手続きにおいて、動機の悪質性として適切に立証しており、裁判所において量刑上考慮されているものと認識していると記載しているところでございます。

有田芳生議員
今述べられましたように、2017年の段階では日本政府の見解として人種主義的動機はわが国の刑事裁判手続きにおいて、動機の悪質性として適切に立証しており裁判所において量刑上考慮されているものと認識されているわけだから。だから、ヘイトクライムについての定義に近いような認識はおありなんじゃないですか?
河原刑事局長
お答えいたします。あの繰り返しで大変恐縮でございますが、ご指摘のヘイトクライムについては、政府としてその定義について特定の見解を有しないところでございます。その上、一般論として申し上げれば、ご指摘のような人種差別的な動機で犯罪を行われた場合を含め、犯行の動機や対応等に悪質性が認める場合には、我が国の刑事裁判手続きにおいて、動機や対応の悪質性等として適切に立証されており、裁判所において量刑上考慮されているものと承知しております。

画像

有田芳生議員
2017年の本審査の時から今現在の政府の先ほどの回答でも、あるいは私に対する質問主意書でも、定義はないと言う。やはり2017年の段階を出発点とすれば、やはりもっと進んでなければいけないと私は思っているんです。でその上で警察庁に伺いますけれども、2016年にヘイトスピーチ解消法ができた直後に、警察庁は全国の警察に対して指示を出されましたけれども、どういう内容でしょうか?
警察庁、森本審議官
お答えします。警察庁におきましてはいわゆるヘイトスピーチ解消法が交付および施工された日に、全国の都道府県警察に対しまして通達を発出しております。この通達におきまして、全国の都道府県警察に対し、警察職員に対する教育を推進すること、いわゆるヘイトスピーチと言われる言動や、これに伴う活動について違法行為を認知した場合には厳正に対処することなどによりまして、不当な差別的言動の解消に向けた取り組みに寄与するよう指導したところでございます。

有田芳生議員
これ非常に大事なことだと私は思っております。ヘイトスピーチ解消法ができた直後に、警察庁からそういう指示が出されたことによって、直後に福岡市内で事件が起きています。どういう事件かというと、商業施設内のトイレなどに在日コリアンを中傷する内容のビラを張った60代の男性を建造物侵入罪で起訴しているんです。その時、福岡地方検察庁は、通達が出された直後の2016年7月に記者会見で、ヘイトスピーチ解消法の意義を踏まえて立件したといっているんです。だから、警察庁のやはり通達がものすごく効果があったと私は思っているんだけれども、それ以降そういう件がないんですよ。つまりヘイトクライム的なものだという判断での検挙なり、裁判の実態っていうのは残念ながら無いんですよね。だから日本で今、ヘイトクライムが増えつつあるときに、法務省当局がヘイトクライムはこういうもんだよという議論を私たちも含めて進めていく段階に、残念ながら来てるんだというふうに思っているんです。いかがですか?ご感想で構わないんですが
川原刑事局長
お答え申し上げます。あの先ほど来御答弁申し上げておりますように、一般論ではございますが、その人種差別的な動機で犯罪が行われた場合も含めて、犯行の動機は対応等に悪質が認める場合には、我が国の刑事裁判手続きにおいて、これらが適切に考慮されているところでございます。今委員ご指摘なりましたヘイトスピーチ解消法が国会で成立したなどと、国の全体的な法秩序、あるいは社会情勢などを踏まえて、検察当局において適切に判断して、適切に立証するものと考えております。

有田芳生議員
例えば、2019年の11月から20年の7月にかけて、川崎市の多文化交流施設川崎市ふれあい館や周りの学校に対して、在日韓国人はこの世から抹殺する、爆発するなどという文書が届いた。警察があの適切な捜査をやってくださって、60代の元川崎市につとめていた男性が逮捕されて威力業務妨害罪によって、懲役一年の実刑判決を受けているんです。だから、そういった差別的動機に対する判断というのは、司法の場でもあると思うんです。ヨーロッパやアメリカのようにヘイトクライムが日本でも起きてきている状況のもとで、もっと議論をしなければいけない。
時間がきたので最後に、菅前総理もこんなことは許されないんだとコメントしてくださったように、大臣としてウトロの件を頭に入れていただいて、こういった事態に対する一言を頂けますか?

f:id:odd_hatch:20220308144712p:plain

古川法務大臣
やはり私たちが目指すべき社会というのは、人がそれぞれ違いを認め合って、そして尊重し合って助け合って生きて行く。そういう共生社会を私たちは目指しております。そのときに、特定の民族や国籍を有するものを、この社会から排除しようと言うような意図をもって、この不当な差別的な言動を行うと言う。定義の話もありましたけれども、そういうことはですね。あの私は【断じて】あってはならないことだと言うふうに思っております。