【2022/3/8】(火) 参院法務委員会 山添拓議員の質疑聞き取り(ウィシュマさん死亡事件について)

 

※ 以下はgoogleドキュメントの音声入力による聞き取りを編集したものです。発言を正確に文章にしたものではありません。

 

山添拓議員
ロシアによるウクライナ侵略が続き、国連人権高等弁務官事務所は子ども27人を含む406人の民間人の死亡を確認したとされます。これは断固糾弾しなければなりません。国外への避難者がすでに170万人を超えているとされる中、岸田総理は、この間。日本でも人道的な対応として飛難民を受け入れると表明してきました。あの基本的なことを確認したいと思います。政府は1976年10月13日、難民の定義について統一見解を示しています。いわゆる難民や亡命者、など英語でrefugeeと呼ばれるものに当たるとし、通常は広く戦争内、乱自然災害等に、より、あるいは政治上、宗教上等の理由による迫害の危険を逃れるために、本国や本来の居住地を離れ、これらの国による保護を受けることができないか、また受けることを望まない人々を指すとしています。この部分は今も維持しておりますか?
外務省大臣官房有馬審議官
ご指摘の答弁は、我が国が難民条約を締結する以前のものであり、当時の外務省の条約局長が難民や亡命者について一義的な定義を行うことは困難であるが、あえて一応の輪郭とも言うべきもので述べればとして答弁したものと承知しております。それが難民条約の締結の際に整備した入管法において、難民とは難民条約の適用を受ける難民を言うものとされております。難民条約は第一条において難民を人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であること、または政治的に迫害を受ける恐れがあるという充分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいるものであって、その国籍の方を受けることができないもの、またそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの等として定義しており、我が国では入館においてかかる定義に基づき、申請者ごとにその申請内容を審査した上で難民と認定すべきものを認定していると承知しております。

山添拓議員
あの難民条約の定義については承知しているんですけれども、この時示された政府統一見解を今改めているわけではないですね。
有馬審議官
いいえ、今委員が御指摘いただきました答弁につきましては、繰り返しでございますけれども、我が国が難民条約を締結する以前のものでございます。その後、我が国が締結した難民条約難民条約の際に整備した入管法に置いて、ー難民条約の適用を受けるものを難民というものとされると整備されております。

山添拓議員
昨日伺った時には別に変えてませんよという答弁だったんで、お話だったんですけれども、その後変えたんですか?
有馬審議官
当時の答弁は難民条約を締結する以前にあえて一応の輪郭、その一般的定義を行うことが困難であるとしつつ、亡命者について一応の輪郭と言うべきものということで、当時の局長が述べたものでございます。その当時述べた認識が当時の外務省の認識であったかということであれば、それはあの外務省の認識ではございました。ただ、難民の定義をと言うことについての統一見解というご質問でございますと、それはその後、我が国は難民条約を締結致しまして、その際に整備した入管法において難民とは難民条約の適用を受ける難民を言うものとしております。

山添拓議員
それはあのわかっているんです。難民条約上の条約上の難民というのは分かっているんですけれども、しかしこの時、あの今、答弁されたように、あえて一応の輪郭とも言うべきものを述べれば、この当時も既に難民条約については存在するわけですよね。日本は締結前ですけれども。しかし、我が国で一般的に難民や亡命者として論じられるものは英語でrefugeeと称されるものにあたるということで述べているんですね。でこれを変えているのかと伺っているんです。
有馬審議官
この当時の答弁を変えているのかというご質問でございますけれども、一義的な定義を行うことは困難であるけれども、あえて一応の輪郭とできものとして述べた答弁の内容を今変更しているということでございます。

山添拓議員
変更しているわけではないと言う答弁だと受け止めました。改めて確認をしたいと思いますが、今、その避難民と難民をことさら区別する発進をされている与党の政治家などもおられますけれども、今度のウクライナからの避難者というのは明らかに難民だと思います。もちろん、条約上の難民にも該当しうると思います。基本的には難民だという対応で、人道上の対応をお願いしたいと言うことを述べておきたいと思います。ちょっとこの点については、きょうこれだけをやるつもりでおるわけではありませんので、またのちに譲りたいと思います。
スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなって一年たちました。3月6日は全国各地で追悼のデモや集会が行われました。私も東京のデモに参加をしました。外国籍の方も含めて多くの方が収監(?)をやめろと声をあげました。入管長の報告書は、外国人や支援者など現場を知る人には到底納得できるものとなっていません。真相解明は道半ばであり、だからこそ怒りの声が湧き上がっています。大臣は、このことをどう認識されるでしょうか?
古川法務大臣
まず衆議院本会議に呼ばれておりまして、約束の時間にあの遅れましたことお詫び申し上げたいと思います。いわゆる名古屋じゃウィシュマ・サンダマリさんが亡くなられて一年が経ちました。これは本当にあってはならない悲しい出来事でありまして、改めて心からお悔やみを申し上げる次第です。この出来事以降二度とこういうことがあってはならないと言う決意のもとに、私共再発防止に取り組んでおります。まずはこの取りまとめられた調査報告書に様々な改善すべき項目が挙げられております。現在、これを鋭意速やかに確実に実行するべく取り組んでいるところでございます。

山添拓議員
私でもで東京入管の周りを一周したんですね。声をあげていますと被収容者の方にも声が届いたようで、あの中から手を振る姿が見えたり、あるいは「えー」「あのー」「おー」というふうに応じる声も聞こえました。ウィシュマさんの事件は、、それに象徴される入管の問題というのは?あの今も続いているんだということを認識されるべきだと指摘したいと思います。最終報告書について伺います。資料の二枚目をご覧ください。ウィシュマさんが亡くなる三週間前、2月15日の尿検査の結果、入館長の調査チームが依頼した総合診療科の医師が飢餓状態にあることを示唆していると指摘したほど深刻な状況を示すものでありました。ところが、この尿検査の結果は、昨年4月の中間報告にはなく、あとから見つかったとされています。私が昨年11月に。名古屋入管を訪れた際の説明では、PDF化する際にこれだけ漏れていたと言う説明だったんですね。このページだけ漏れていたと。これ本当ですか?
出入国在留管理庁、西山次長
お尋ね予定のつきましては、あのう、尿検査の結果が送られて来なかったことについて、えー、確認をした際に、えー、故意に外したのか漏れたのかについては、あの私どもなりに調査をいたしましたが、結論としては、コピーの作成、それから送付を漏らしたと言うことでございます。

山添拓議員
この一枚だけたまたまですか?
西山次長
お尋ねのその尿検査報告書は、あの一綴りの冊子の中でファイリングされていたものですが、そのファイルのなかでもらしていたのはその一つだけでございます。

山添拓議員
これはにわかに信じがたい説明です。あの意図的に省いたのではないかという疑念すら抱く説明と言わなければなりません。報告書は、この尿検査の結果について、2月18日の診療の際、看護師外資に伝えたとし、一方、医師は、この日尿検査の結果を把握したかどうかは記憶は定かではないと述べた、としています。私が知人の医師に伺いますと医療関係者なら一目見て異常を感じるような数値だそうです。名古屋入管の医療体制ではそう受け取られなかったということです。2月15日の尿検査の結果を軽視した。この対応は、大臣適切ではなかったですね。
古川法務大臣
この事案の後、さまざまこの何が起きたのかということを明らかにする必要がございます。さまざまな客観的な資料で、それから、外部の有識者も交えた上で、広く幅広く論点を抽出して、その上でこの調査報告書まとめられております。調査報告書がまとめられる過程において、、わたくしは様々な議論が行われているんだろうと思いますけれども、その上で、そういう、一定の報告書という結論に至っておるわけでありまして、私共はその報告書を大事、あの正面から、重く受け止めさせていただいて、そしてこの内容に沿って二度とこういうことが起きないように取り組んでいると言うところでございます。

山添拓議員
報告書には、この検査の結果を受けて内科的な追加の検査等がなされることが望ましかったものの、その原因は医療体制にあったのだとして医療体制の問題に展開しているわけですけれども、望ましい検査がされなかったわけですから、それ自体対応としては不適切だったのではありませんか?
西山次長
あのご指摘のように報告書にもございますように、尿検査結果を踏まえて、内科的に追加の検査などがなされることが望ま望ましかったと言うことでございます。

山添拓議員
望ましいことができなかったというのはそれ自体不適切ではありませんか?
西山次長
委員がおっしゃる趣旨であれば、不適切だったと言うことでございます。

山添拓議員
あの私はウィシュマさんが亡くなる前に週間の映像記録を理事懇談会で拝見いたしました。まともに見ているのがつらくなるような映像でした。最初の2月22日から自分で何もできないと訴えています。翌23日には応答を繰り返し、点滴のことを指しています。救急車呼んでと懇願する。しかし、職員は死ぬことはないと死ぬなんてことはない、トイレ行こうかと。こういうふうに聞き流して対応しているんですね。映像が開示されたその期間の間、ほとんど寝たきりか、あるいは車椅子です。誰が見ても尋常ではない状態だといえます。で、大臣も映像をご覧になったとおっしゃいますので、一つうかがいます。この状況を踏まえてなお。3月4日の精神科の記録には日本に居たくてヒステリーや詐病の可能性と記録されているんですね。報告書は職員は詐病という言葉を使っていないとしていますが。仮放免されるために体調不良のアピールと考えていた。だから本当ではないけれども、アピールしたんだと、こういうことは求めています。大臣ご覧になって。このウィシュマさんの様子が。何百のアピールだと。そういう風にはとても言えないと思うんですけれども、どういう感想お持ちになったでしょうか?
古川法務大臣
わたしもこのビデオはあの調査報告書で言及されている箇所を中心としまして、私も拝見を致しました。大変胸のつぶれるような思いで拝見をしたわけです。感じたことと申しますのは。この入管行政、この収容施設におけるあり方というものがで、どこかやはり欠けているものがあると。足らざるものがあるというのは、これは率直に思うところでございます。、委員の今のご指摘をはじめ、さまざまな方から様々なご指摘もいただいておるわけですけれども、それはそれでわたくしは真摯に受け止めなければならないと言うふうに思っております。

山添拓議員
この真摯に受け止めていただいて、それは必ず改善に直ちに生かさなければならないと思うのですが、この体調不良が仮放免を受けたいためのアピールなどでないということは、2月15日の尿検査の結果を見ても明らかであります。今、大臣は入管行政にかけているものを足らざるものもあるんだと言うことをおっしゃいました。私は映像記録を見る限り、ウィシュマさんが深刻な体調不良であったことは明らかだと思います。で、これを体調不良のアピールだと認識していた事に象徴されるように。問題は入管長が、名古屋の局がウィシュマさんの状況をどう認識していて、それを踏まえてどう対応するという方針を持っていたかと、ここにあると思うんです。入管職員がどういう認識にあったかというのは、看守勤務日誌や被収容者診療部に記されているはずです。ところが報告書で、は、この基礎的資料が示されていません。大臣明らかにするべきじゃないでしょうか?
古川法務大臣
この可能な限り客観的な使用に基づいて、外部の有識者のご意見をまじえてまとめられたこの調査報告書と言うものがございます。さまざまな論点からの議論がなされた上で、このまとまりましたこの調査報告書に示されております。改善点を誠実に着実にできるだけ速く実行するということが私に与えられている責務であると考えております。

山添拓議員
全然お答えいただいていないので、私が求めてますのは。入管の職員の皆さんがウィシュマさんの状況を見て、それをどういうものだと認識し、今後の対応方針、どう進めていくのかを記している看守勤務日誌、被収容者診療部が重要です。報告書は、あのビデオに基づいて作られてますから、事実経過としてはビデオと大きな矛盾がないように作っています。ですから、これを開示していただくべきだと思うん。ですが、入管長いかがでしょうか?
西山次長
委員ご指摘の史料には、ウィシュマさんやその他の被収容者、関係者等のプライバシーに関わる情報や収容施設における保安上の支障と生じさせうる情報と情報公開法上の不開示情報に該当する情報が含まれているため、開示はなかなか困難であるというふうに考えております。

山添拓議員
プライバシーがとおっしゃるんですが、ウィシュマさんの命を奪っているんですね。外部の病院のカルテは開示しました。施設内のカルテや日誌については開示できないと言うのですか?それはあまりに矛盾していると思います委員長、開示を求めたいと思います。ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議を致します。

山添拓議員
仮放免について次に伺いたいと思います。仮放免をされても、就労制限や移動制限でその生活は厳しい著しい困難を伴います。特定npo法人北関東医療相談会がちょうど今記者会見をおこなって、仮放免者の生活実態調査の結果というものを公表しています。これは日本で初めての実態調査です。貴重なものだと思います。支援団体が支援している仮放免者等27カ国の141人から回答が寄せられたものだと伺っています。私もあの拝見しました。大臣も後ほど観ていただきたいと思うんですが。生活が苦しいとても苦しいと答えたのは89%でした。就労が禁止されているために年収0円という方が70%です。借金があると答えたのが66%。家賃、服薬に生理用品、子供の教育費、生活のすべてにおいて困難があるという実態が語られています。大臣、こういう仮放免者の生活実態について、どのように認識されていますか?
古川法務大臣
一般論としてですね。この入管法に違反して退去強制が確定した外国人。はですね、速やかに日本から退去することが原則であります。仮放免中の生計は、本人の資産や身元保証人や家族の支援等によって賄われることをこれは想定しております。仮放免された外国人につきましては退去強制手続き中という立場に鑑みまして、これは基本的に就労を認めておりません。また、入管行政の一環として国費による生計等の支援を行うことも困難だと考えています。しかし、生活あるいは健康上の問題を抱える方々に対する人道上の支援の必要性というものはもとより承知を致しておりまして、これまでもですね、あの入管長としては、この仮放免中の外国人から連絡やご相談があれば個別に対応させていただいているところであります。

山添拓議員
個別に対応しているというけれども、その結果がこうして生活苦しい生きていけない状況だと言う実態に表れています。日本に家族がいるとか、あるいは母国では迫害される恐れにもかかわらず、日本で難民認定がされない、帰らないのには理由があるわけです。しかも今、コロナの感染拡大の状況もあります。とりわけ医療の問題は深刻です。経済的な問題で医療機関を受診できないと答えた人が84%。経済的余裕があれば、治療したい病気や怪我があると答えた人は79%に登りました。国民健康保険に加入できませんので、窓口負担100%です。難しい手術を必要とするような場合は、大きい病院を紹介してもらう訳ですが、健康保険に入っていませんので医療ツーリズム扱いとなって、高いところでは200%、300%。これも支援の皆さんも支えきれない。そういう実態があります。無料、低額診療事業を行っている医療機関が仮放免者を受け入れる場合があります。しかし、その医療費は医療機関の負担となって、医療機関自体の経営に影響を及ぼします。コロナで経営なんですからなおさらです。これ、厚労省に伺いますが、無料低額診療を行っている医療機関が高額な治療費を要する無保険者を受け入れた場合に、医療費を補填するような仕組みはありますか?
厚生労働省山本社会用語援護局長
お答えいたします。無料低額診療事業は、社会福祉法第二条第三項第九号の規定に基づき、生計困難者のために無料または低額な料金で診療を行う社会福祉事業でございます。委員ご指摘になりました。無料低額診療事業を実施する医療機関に対して。当該医療機関が負担した医療費を補填する仕組みはございませんけれども、法人形態によっては税制上の優遇措置を講じているところでございまして、私どもこの事業につきまして、しっかりと周知をして行きたいと考えております。

山添拓議員
税制優遇はあの一定の役割を果たしていますけれども、受け入れの規模に応じて変わるものではありませんので、受け入れれば受け入れるほど赤字がかさんで経営に影響を及ぼすという状況があります。入館施設では、まともな医療を受けられず、仮放免者は就労禁止されて医療費も高額になり、生活保護の適用もないという実態をその一旦をお伝えしました。これはやはりひとりの人間として尊重する。そういう制度とその運用への改善が必要だとこのことを述べまして、質問終わりたいと思います。ありがとうございます。