【2019/5/29】(水) 参院拉致特別委員会 有田芳生議員の質疑聞き取り(日朝首脳会談の可能性を切り拓く条件は何か)

有田芳生議員「拉致問題に関する日朝首脳会談は、2002年の9月17日、一回目で、2回目は2004年の5月22日。いずれも小泉政権でした。それからも長い時間15年が経ちました。その15年の間の約半分が安倍政権でした。残念ながら結果が出ていない。じゃどこをどのように打開していけばいいのかそこを2人の大臣にお聞きしたい。2012年の12月に第2次安倍政権が発足しました。その年の12月28日に安倍総理拉致被害者家族の皆さんと懇談を行いました。その時安倍総理はこう語っております。「再び総理を拝命し、必ず安倍内閣で完全解決の決意で進んでいきたい」。これに対して飯塚敏夫家族会の会長はこう語りました。「非常に期待が膨らんでいる。もう待てないというのが私たちの共通の立場だ。来年の早いうちに道筋が見え結果を見たい」。繰り返しますけどこれは2012年の12月28日。

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それからもう6年半が経ちました。残念ながら結果が出ていない。そして安倍総理が様々な発言をこれまでなさってきたことを少しご紹介したいと思います。例えば2013年の5月15日参議院予算委員会では、「キム委員長と会うことそのものは目的ではなくて、結果を出していかなければならない」。あるいは2016年の3月7日やはり参議院予算委員会です。「拉致問題の解決には対応のための対話では意味がない」。あるいは2017年11月21日参議院本会議。安倍総理「あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし北朝鮮から対話を求めてくる状況を作っていくことが必要と考えています」。きりがないがあとひとつだけ。2018年5月14日より参議院予算委員会。総理はこう語っています。「首脳会談について首脳会談会うためだけの首脳会談ではなくて、拉致問題の解決につながるものでならなければならないとこのように考えております」。
いくつかご紹介をしましたけれども、総理がそのように発言をなさってきた中で、今では条件なしで首脳会談に臨みたいというお立場に変わってきました。そこのところを国民に分かり安くどういう変化があって、どういう判断はなされたのかについて、本来ならば安倍総理にお聞きをしたい。そしてまた安倍総理の後継の噂も出てきてる菅官房長官にお聞きしたい。ですが、外務大臣にお聞きしたいと思います。いかがですか

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河野外務大臣安倍総理は、これまで北朝鮮の核ミサイルそして最も重要な拉致問題の解決に向けて相互不信の殻を破り、次は自分自身が金正恩委員長と直接向き合うという決意を従来から述べてまいりました。この条件をつけずに会談実現を目指すという発言はそのことをより明確に述べたものであります。

有田芳生議員「開いてもいいんですけれども(不明)なければ首脳会談はやらない、圧力を最大限かけて向こうが話し合わなければいけないという状況を作って首脳会談を実現しようと、総理が語ってきた。それがなぜどういう国際的な環境の変化の中で、今のように条件なしで首脳会談をやりたいという判断に至ったのか、国際情勢の変化、そして日本側の判断を、国民に向けて丁寧に、本当は総理にお話を伺いたいんだけれども、今日は河野大臣にお聞きをしたいということなんですけど

河野外務大臣「条件をつけずに会談を実現を目指すということは、金正恩委員長とを自ら直接向き合うという決意をより明確に述べたということでございます

有田芳生議員「もう一回お尋ねします

河野外務大臣「2017年11月21日の参議院本会議の総理の演説を正確にもう一度お伝えします。北朝鮮に制作を返させるためあらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし北朝鮮から対話を求めてくる状況を作っていくことが必要と考えてます

有田芳生議員「圧力をかけて北朝鮮が追い込まれて首脳会談やらなければもう北朝鮮も持たないのはという状況と判断、そこに至らないと首脳会談やらないと総理はおっしゃってた。それがどのような環境の変化で今のような方針で変わったんですかという質問です

河野外務大臣「先ほど申し上げた通り従来の発言をより明確に述べたものでございます

有田芳生議員「ちょっと全然質問に答えていない。速記止めてください。

速記止める

 

有田芳生議員「もうトランプ大統領との会談が2回行われて、そこで安倍総理が強く望んだ拉致問題を提起してくれとトランプ大統領がキム委員長に語ったという環境の変化があり、これなら直接首脳会談を申し込む意味があるとそういう判断をしたという理解でよろしいですか。

河野外務大臣「これまでもトランプ大統領から北朝鮮に対して拉致問題の問題提起は何度も行われております。そういう中で今回これまでの発言をより明確に申し上げたということでございます

有田芳生議員「時間がもったいないから繰り返しません。最大限の圧力をかけたら北朝鮮日朝首脳会談をやらざるを得ないなというところに追い込まなければ会話はやらないと安倍さんずっとおっしゃった、対話のための対応はいらないってずっと国会でも語ってきたじゃないですか。それが状況変わったわけでしょ。変わったから条件なしで首脳会談やろうとおっしゃってる。私は大賛成ですよ。だけどどういう環境が変わったんですかとそこを聞きしてるんです。

河野外務大臣「今日は、北朝鮮の核ミサイル、そして拉致問題の解決に向けて相互不信の殻を破り、次は自分自身が金正恩委員長と直接向き合うという決意を従来から申し上げてまいりました。今度の発言はそれをより明確な形で申し上げているということでございます

有田芳生議員「申しあげてないんですよ。ないから、この数年間の安倍総理の具体的な発言を紹介したんですよ。あの水掛け論以前の話ですから、次に行きたいと思います。
要するに、2月末のハノイ会談の後で安倍総理トランプ大統領と首脳会談を電話会談を行った。その時トランプ大統領安倍総理に「キム委員長に直接電話したらどうですか」とおっしゃってますよね。だけど安倍総理はそれできないから、その後から条件なしで日朝の首脳会談やりたいと語り始めたんですよ。
大臣にお聞きをしますけれども、2002年の小泉訪朝、2004年の首脳会談、二回の首脳会談が実現したということは日本外交において大きな意味があると評価されておりますけれども、この大臣日朝首脳会談が2002年に実現した教訓をどのように認識されていらっしゃいますか。

河野外務大臣「小泉総理訪朝が行われ、それが5名の帰国につながってきたわけでございますが、様々な外交ルートを通じて調整をした結果だというふうに思っております。拉致問題の解決のために今後ともあらゆる努力を尽くしてまいりたいと考えております

有田芳生議員「今の「ルートを使っていた」というのは間違いだと思います。当時の勤務総書記トップに繋がる一つも外交ルートを当時の小泉首相をはじめとして、当時の外務省が全面的に努力をしてきたから成功したんだと私は判断しております。いろんなルートじゃないんです。トップに繋がる人までのルートに絞って、小泉訪朝の一年前から、回数で言えば125回、大連や北京などで実務者交渉を行ってきた。時間にすれば、300時間の話し合いがあった。その上で小泉訪朝があったと私は理解してるんですが違いますでしょうか

河野外務大臣「外交上のやり取りについて詳にすることは差し控えます

有田芳生議員「複数のルートではなく、トップにつながる一つのルートで日朝交渉を進めなければいけないというのは、これは具体的な話ではなくて一般論としてお聞きをしてるんですが、今の安倍政権もそういう立場をとるべきではないでしょうか。それが成功した教訓ではないんですかとお聞きしております。

河野外務大臣「このやり取りについて背景を含め公表するのは差し控えたいと思います

有田芳生議員「複数のルートで北朝鮮に向かって行くのか、やはりトップにつながるひとつのルートで時間をかけて安倍総理と緊張が向き合うことができるような条件を整えていくっていうのが道じゃないんでしょうか。一般論としてお答えください。

河野外務大臣「この特別委員会で大臣が申し上げることは一般にはなりませんので、差し控えさせていただきます

有田芳生議員「菅大臣、いかがですか。外務大臣答えられないって言うんですけれども、一般論として

菅拉致担当大臣「私にも同じ担当大臣として様々な北京ルートを始め様々な手段を通じてこの解決に向けて全力で取り組んでおります。何が最も効果的で効果的なことであるのか、そうしたものを確認しながら前に進めているところであります

有田芳生議員「もう一度伺います。2002年の首脳会談が実現した教訓を、大臣はどのように理解されてますか

菅拉致担当大臣「先ほど申し上げた通り様々な調整を丁寧に行った結果だというふうに思っております

有田芳生議員「そこに戻っていただきたいんです。外務省の長い伝統そして経験もある。その外務省がもっともっと前面に出ている。官邸が行こうと言われるものではなく、外務省のプロが北朝鮮の扉をこじ開けるという立場に立っていただきたいという思いで今質問させていただいている。北朝鮮だって人選が変わって、今度国務委員会に出ている人数を写真で数えると14人ですよ。その中に外務省からも二人入ってる。少なくとも外交やってる人はさらに二人いる。4人いる。トップに繋がる人達っての見えてるわけだから、そこにつながる外交をやっていただきたいということなんです。
そしてもう時間が来ますから最後に伺いたいんですけれども。これ官房長官というか拉致担当大臣にもお願いをしたいんですが、道を拓く道はあるんですよ。それはお二人お話してしないからもう前提にしますけれども、日朝平壌宣言は有効なわけですよね。だから条件なしで話し合いたいって言うんではなくて、日朝平壌宣言に基づいてまずは国交正常化交渉の呼びかけをするべきだと思うんです。それで経済協力するわけでもないもちろんのこと扉をこじ開けるためには北朝鮮だって日朝平壌宣言を否定してないんだから、そこに基づいて国交回復交渉をやっていこうという、そういう具体的な発信というものをやることが必要なんじゃないかと思いますが、河野大臣いかがでしょうか

河野外務大臣拉致問題を包括的に解決し不幸な過去を清算して国交正常化を目指す考えに変わりはございません

有田芳生議員「条件をつけずに首脳会談をやりたいと総理が最近ずっとおっしゃってんでしょ。条件をつけずに首脳会談をやるっていうのはこれまでの方針をより明確にしたとおっしゃってるけども、より明確じゃないんですよ。相手がいるわけだから、相手の心に届くような言葉を使わなきゃいけない。なら日朝平壌宣言は日本も北朝鮮も否定してないわけですから、国交回復交渉を進めようじゃないかともっとストレートにやっぱり語るべきだというふうに私は思ってる。平壌宣言守るって言ってんだから、その中身を言わないと扉は開かないという風に思いますが、いかがですか

河野外務大臣「この日朝平壌宣言っていうのは日朝政府の首脳の議論の結果として、今後のあり方を記したものであると思ってます。そして両首脳により表明された文章であり、北朝鮮がはもう否定はしておりません。日朝間において確認された事項が誠実に実施されることが重要であるというふうに考えております。そしてまたこの平壌宣言に基づいて拉致・核ミサイルと言った所見を包括的に解決し、不幸な過去を清算をして国交正常化を目指す考えであるというこの方針は変わらないということであります

有田芳生議員「もう1回確認します。日朝平壌宣言に基づいて国交正常化交渉をやろうじゃないかとそういう提案なんですがいかがですか。まだまだちょっと扉は開けるには時間かかってしまうのかなっていう思いなんですが

河野外務大臣「誠実に務めることが極めて重要であると考えています。そしてはこの宣言に基づいて拉致・核ミサイルといった問題を包括的に解決し、不幸な過去を清算をし国交正常化を目指す考えであり、この方針に変わりはないということであります

有田芳生議員「明確にするんだから、そこを強調していただければ、少しは局面が動く可能性はあるなというふうに私を思っているから安倍政権にお願いしたいんです。
最後に、5月16日 TBSの報道30で、北朝鮮の問題が話し合われました。そこに衆議院拉致問題に関する特別委員会委員長の自由民主党に所属をされてます山口剛さんが、この番組の中で日朝問題を打開するひとつの対策として連絡事務所を作るべきじゃないかと何度も発言されてました。もうご存知でしょうけども、米朝の間では連絡事務所を作るって事がもう決まってるんですよ。この間のハノイ会談で合意がなされませんでしたけれども、米朝が動けばまず米朝の連絡事務所はできる。だから日本もそれ山口剛拉致問題特別委員会の委員長も語ってらっしゃる。あるいは自由民主党の皆さんの中で言えば総裁選の時には、石破茂さんもそういう提案をなさっていました。これも一つの対策じゃないかなというふうに思うんです。大臣いかがでしょうか。菅大臣でも外務大臣でもかまいません

河野外務大臣「今後の交渉について明らかにするのは差し控えたいと思います