【2022/5/19】(木) 参院法務委員会 有田芳生議員の質疑聞き取り(ヘイトクライム(差別犯罪)対策は時代の課題)

※ 以下はgoogleドキュメントの音声入力による聞き取りを編集したものです。発言を正確に文章にしたものではありません。
※ テキストはヘイトスピーチを含みます。閲覧の際はご注意ください。

 

 

有田芳生議員

先日、アメリカのニューヨーク州で18歳の白人青年が銃を乱射をして十人の黒人が命を奪われました。18日にバイデン大統領と副大統領はその遺族にお会いされました。事件の現場に立って演説をおこないました。「白人至上主義は毒だ。その毒は、この国にはびこっている。で一部の政治家が人種差別を煽っている」こういう、大統領としてヘイトクライム差別犯罪に対する非難を行いました。これまでにもバイデン大統領はそういう行動をとっております。その翌日の5月10日8日。今度は、カリフォルニア州で中国系の男性が台湾系の住民が集まっている教会に入り込んで銃を乱射をして六人が負傷すると言う事件がありました。この事件について、NHKは報道するときにヘイトクライムと言う表現をいたしました。この日本は銃社会ではありませんけれども、同様の事態が続いております。例えば、2020年1月、川崎市のふれあい館多文化共生施設です。そこにあてて在日コリアンの虐殺宣言や爆破予告等の連続脅迫文章が送られました。以前もこの委員会で、その時のはがきを資料としてお示し致しました。さらには翌年2021年の3月、川崎ふれあい館の館長へコロナウイルスがいると称する脅迫が送付され、更には21年の7月から8月にかけては、韓国民団愛知、名古屋韓国学校京都府ウトロのコリアン修築の民家が放火をされる事件がありました。さらに、今年に入ってロシア料理店に対する大量の脅迫ツイートが続いております。まず、外務省に伺いますけれど、菅前総理とバイデン大統領との共同記者会見の場で人種差別的犯罪についての発言がありましたけれども、どういう内容だったでしょうか?外務省お願いします。
外務省大臣官房金井参事官

ご指摘のとうり菅前総理は昨年4月16日にバイデン・アメリカ大統領と日米首脳会談を行ったわけでございますが、首脳会談での本件の議論に関しまして菅前総理は会談後の共同記者会見におきまして首脳会談で。全米各地でアジア系住民に対する差別や暴力事件が増加していることについて議論し、人種などによって差別が行われることは、いかなる社会にも許容されないことでも一致した。バイデン大統領の差別差別や暴力を許容させず断固として反対するとの発言を大変心強く感じ、アメリカの民主主義への信頼を新たにしたということを紹介されたところでございます。

有田芳生議員
実は菅前総理がこのバイデン大統領との会談に行かれるときに、アメリカでのヘイトクライムの現状だけではなくて、先ほどご紹介しました川崎市ふれあい館へのさまざまな脅迫内容についてもご存知で、それを意識して共同記者会見での発言になっている。菅前総理は日本における一連のヘイトクライム的動向について非常に憂慮されておられた前提でバイデン大統領との共同記者会見に臨まれた。警察庁に伺います。昨年の8月30日の京都府宇治市のウトロ在日コリアンの集住地域でどんな事件がありましたでしょうか?あるいはその前に名古屋などでどんな事があったでしょうか?
警察庁長官官房森本審議官

お尋ねの京都府で発生した放火事件につきましては、令和3年8月30日、京都府宇治市伊勢田町ウトロ所在の家屋に火付け七棟を焼損させたとして同年12月被疑者を非現住建造物等放火で逮捕しております。また同一犯による関連事件と致しまして、令和3年7月24日、愛知県名古屋市中村区所在の在日本大韓民国民団愛知県地方本部および学校法人愛知韓国学園、名古屋韓国学校におきまして、それぞれ建物の一部に火を付け、焼損させた。同年10月、被疑者を器物損壊で逮捕しております。また、令和3年7月、奈良県大和高田市日の出東本町所在の在日本大韓民国民団、奈良県地方本部ほか支部の建物を焼損しようと企て、建物付近に火をつけた着火剤を置きましたが、建物に延焼しなかったとしてこの事件は令和4年3月、現住建造物等放火未遂で書類送致をしております。その他の事件につきましても、それぞれの地方検察庁に送致をしているところです。

有田芳生議員
資料にも示しいたしましたけれども、放火現場で七棟が焼けたわけですけれども、幸い子供たちが外に出ていた。大変な命にかかわる。この京都府宇治市ウトロは、戦前に陸軍が飛行場を作っていた。飛行場を作るために、朝鮮人をその場に来てもらって働いて、それで飯場が出来た。戦争が終わって、その方々がさらに暮らして今に至っている。ここは、実はかつてウドグチと言った。ウドグチと言ったのは行政上のミスで、いつの間にかウトロになってしまった土地ですけど、今でも在日コリアンの方々が暮らしていらっしゃいます。

そして、その事件の初公判が5月16日に京都地裁で行われました。検察側の冒頭陳述で、犯行動機について韓国人への悪感情を抱いていたと言うことが述べられております。悪感情と検察は言うんだけども、良い感情か悪い感情かではなくて、朝鮮半島にルーツを持つ人たちならば、理不尽な対応をしていいと言う差別的な犯罪なんですよね。この冒頭陳述によりますと、憂さ晴らしをする、社会から注目を浴びたいといっている。名古屋での事件がニュースとして大きく取り扱われず物足りなさを感じていた。資料でお示しした上の方の写真がウトロ平和記念会館ですが、ここにウトロの歴史などを展示する予定でした。検察の冒頭陳述によりますと、被告人は展示予定の資料を燃やせば、社会から注目を浴びることができると考えた。そして事件を起こしてからは、SNSに「テロファイヤーが起きている」っていうようなことを本当に述べているんですよね。明らかに差別犯罪なんです。典型的な。問題なのは、ヘイトスピーチヘイトクライム問題をずっと携わってきた師岡康子弁護士に、23区の人権担当者の研修を3時間行っていただいた。その人権担当の人たちに、このウトロの放火事件について知ってるかって聞いたら、約30人のうち二人しかしらなかった。大きく報道されても人権担当者さえそういう現実がある。やはりもっともっと深刻さというものを明らかにしていかなければいけない。法務省に伺いたいんですけれども、前もお聞きしましたけれども、ヘイトクライムを定義されてますか?
法務省河原刑事局長

お尋ねのヘイトクライムにつきましては、政府としてその定義について、特定の見解を有していないものと承知しております。

有田芳生議員
それがおかしいんですよ。もう世界的に一般的了解が少なくともありますよね。
法務省河原刑事局長
委員がお尋ねのように、その世界的な意味で一般的な了解だというところは、私ども存じ上げないところでございますが、ヘイトクライムという用語が一般的に用いられていることは承知しております。

有田芳生議員
じゃあ何故定義にしないんですか?その理由を答えてください。
法務省河原刑事局長
一般的な用語が求められることは承知をしておりますが、その概念の正確な定義は外苑につきまして、政府として、特定の見解を有しているものではないということをしているところでございます。

有田芳生議員
外務省に伺います。2021年3月26日のアジア系住民に対するヘイトクライムについてという文章の説明をお願いします。

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外務省大臣官房遠藤審議官
昨年3月26日、在アメリカ合衆国日本国大使館から在米の在留邦人に対しましてご指摘の領事メールを輩出して注意喚起を行ったところがございます。で、その領事メールの中におきましては米国においては、アジア系住民の外見的特徴を背景とすると思われる傷害等の事件が各地で確認され、新型コロナウイルスの発生地とされるアジア太平洋島嶼系米国人に対するヘイトクライムやヘイトインシデントの発生増加を危惧する声が高まっている。こうした状況を踏まえて、地域の安全情勢について情報収集に努め、安全対策を励行するよう注意喚起をおこなったものです。

有田芳生議員君、
アメリカでは普通に外務省もヘイトクライムという言葉を使って領事メールが出されている。その中にはヘイトクライム被害の報告をしなさいとか、被害状況を示す関連統計なども示されている。これも外務省はヘイトクライムの定義がなくても、こういう言葉を使われるっていうのはなぜですか?
外務省遠藤審議官
ヘイトクライムの定義につきましては、先ほど法務省参考人からご答弁あった通りでございますけれども、この領事メールにつきましては、米国に在住する在留邦人に向けて注意関係をするという趣旨で輩出したというものでございます。米国において一般的に使われる言葉の意味で、人種、宗教、性的嗜好、民族への偏見などを動機とした犯罪と言った意味で使用させていただいているというところでございます。

有田芳生議員
法務省河原刑事局長、アメリカでは日本人に対してそういう今おっしゃった定義で文章が発せられているのは、なんで日本で定義を確定しないんでしょうか?
河原刑事局長
ご指摘のそのアメリカにおけるメールの趣旨につきましては、今、外務省の参考人から答弁があったところでございます。その上再三のお答えで恐縮でございますが、先ほどヘイトクライムと言うものについて特定の定義に関して特定の見解をしていないというのは。ヘイトクライムの概念の正確な定義や、その概念について、政府として特定の限定をするものは無いと言うことでございますので、ご理解を賜りたいと存じます。

有田芳生議員
アメリカでは、法務省ヘイトクライムという文章を作ってカリフォルニア州の日本人に配布している。ニューヨークでもそのようなヘイトクライムについての警告を日本人に行っているんですよね。で定義がないっていう答弁もおっしゃっておりましたけれども検討する予定は無いんですか?
河原刑事局長
(不明)刑事裁判におきましてはヘイトクライムという定義の有無に関わらず、適正な事件の量刑がなされていると承知しているところでございます。

有田芳生議員
いや端的に今後検討されるおつもりはありませんか?という質問なんです。
河原刑事局長
私どもの立場としては刑事事件の処理にあたってどうかということで、先ほどお答えしたところでございます。その上で必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

有田芳生議員
必要があれば、というのはどういう事態を指しているんですか?
河原刑事局長
繰り返し申し上げますが、私どもの担当は刑事事件の処理でございますので、その刑事事件の具体的な処理にあたりまして、そういった必要性があるということが、私どもがもし検討を開始すると言うことになれば、私どもとしてはそういった点を考慮することになろうかと思います。

有田芳生議員くん
さらに伺いますけれども、ヘイトクライムを差別犯罪とすると諸外国ではそのヘイトクライムと量刑との関係はどういう関係になってますでしょうか。例えば、イギリスやアメリカやドイツでは量刑が重くなりますよね。外国では普通。
河原刑事局長
先ほど申し上げた通りでございますが、政府としてヘイトクライムの定義につきまして、特定の見解を用意していないところでございまして、それを前提と致しまして、ヘイトクライムであることを理由として、量刑を重くした海外の事例、あるいは国内においてヘイトクライムであることを要件に反映させた事例、こういった形での事例の把握はしてないところでございます。

有田芳生議員
詳しいじゃないですか。前もお聞きしましたけれども、2013年の人種差別撤廃委員会がありました。政府は人種主義的動機に基づく犯罪に対して現行法でも動機の悪質性として適切に立証しており、裁判所において量刑上考慮し裁判において適切に対処している。これ2013年の日本政府の報告書じゃないですか?そういう刑事裁判において対応をとっていらっしゃるわけでしょ?これまでどういう例がありました?
河原刑事局長
その個別の例について、今、すみません。直ちに申し上げることは困難でございますが、今、委員の御指摘のとうり一般論として申し上げれば、人種差別的動機で犯罪が行われた場合も含めて、犯罪の動機や対応等に悪質が認められる場合には、我が国の刑事裁判手続きにおいて動機や対応の悪質などとして適切に実施されており、裁判所において量刑上考慮されているものと承知をしております。

有田芳生議員
質問通告でお聞きしましたけれども、その具体的にどういう裁判で人種主義的動機による犯罪について考慮されたんですか? これまで日本政府は2013年にこう答えているわけだから。それからもう10年経つわけでしょう。これまでどんな裁判で人種主義的動機による犯罪行為が量刑上現行法でも考慮されたんですが、具体的に教えてください。
河原刑事局長
大変申し訳ございません。個別具体的な事案個々の事案におきまして裁判所の量刑の要因につきまして、法務当局についてお答えすることは差し控えたいと存知ます。

有田芳生議員
もう終わってる裁判なんでしょう?そういう例がないんじゃないですか?言葉だけでいってて、国際的にはどうなんですか?具体的に言えないっていうのはなぜなんですか?終わっている裁判でしょう。
河原刑事局長
終わってる裁判。確かにそのとうりでございますが、個々の量刑的な要因につきまして、私ども法務当局といたしましては裁判所の判断に関わることについて、具体的にお答えすることは差し控えたいと存じます。

有田芳生議員君
人種主義的動機が認定されて重く処罰された例はないはずなんですよ。国際的にやってますよってゆってるわけにもかかわらず。
もう時間が来ますから、最後に、大臣に伺います。大臣、被害者の方も含めて、ヘイトクライム対策の提言をお受けになったと思います。大臣として、今後どうされますか?こういう問題について。
古川法務大臣
私はそのいわゆるヘイトクライムと言われるこういう事柄に対して、以前この委員会でも御答弁申し上げたことがありますけれども、特定の人種や民族とうとう理由としてですね。不当な偏見や差別などあってはなりません。ましてや暴力犯罪というようなことは断じてあるまじきことだと言うふうに考えております。やはり私たちが目指すべき社会というのは、人と言うのはそれぞれが違うわけですから、その違いをお互い認め合って尊重し合って助け合っていく社会というものが私たちの目指すべき社会だと言うふうに私はかねて思っております。今日、委員からはいわゆるヘイトクライムと言うことをテーマに質疑ご質問をいただきながら質疑が進められてきたと言う風に思いますが、私はですね、やはりこれはえー、法務大臣として具体的に何をするかという前にですね、やはりひとりの人間として、政治家、あるいはおよそ責任ある人は全て良いものは良い、悪い物は悪いって言うことを言えるような、そういうものでありたいというふうに思っているところです。

 

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