【2019/4/9】(火) 参院法務委員会 有田芳生議員と伊藤孝江議員(公明党)の質疑聞き取り(選挙運動を利用したヘイトスピーチについて)

10:20-10:45

有田「選挙運動を利用した差別扇動について質問。統一地方選の前半戦が終了。公選法を利用した悪質なヘイトスピーチ(HS)にどう対処するかは重要な問題。日本第一党という政治団体がある。桜井誠が党首。さまざまなところで問題を起こしてきた。せと弘幸という最高顧問はヒトラー崇拝者。街頭宣伝でもホロコーストはなかったと平然と言う。前半戦では全員落選したが後半戦でも選挙運動をする予定になっている。
HSでは被害者の問題が深刻。在日コリアンは選挙期間中、毎日ずっとヘイトデモが行われていると感じている。買い物も躊躇する。運動員がいれば逃げる。入学式にチマ・チョゴリを着ていけない。川崎、相模原、北九州などで、被害者は深刻な思いにいる。
厳正な対処を考えなければならない
人権擁護局から3/12に選挙運動のHSにかんする事務連絡があった、内容は?

<参考>

【ヘイトスピーチ】インターネット上の不当な差別的言動及び選挙運動・政治活動等として行われる不当な差別的言動への対応についての法務省の考え方 - レイシズム監視情報保管庫

 

菊池人権擁護局長「選挙は民主主義の根幹をなすものであるが、不当な差別的言動が選挙運動として行われたからといって、ただちにその違法性がなくなるわけではないというものであります。

有田「救済の対象にするという理解で正しいか

菊池「3/8の事務連絡の内容であるが、局のかんがえをまとめたもの。インターネット上の具体的被害が生じているか、おそれがあるかで救済の対象となりうる

有田「インターネットで救済の対象になるのであれば、当然街頭のHSでも対象になりうるのではないか。たとえば鶴橋大虐殺。類似の発言が集住地域であれば救済の対象となるという理解でよいか

菊池「インターネット上の言動に限らない。街頭でも適用されうる。個別具体的な問題では総合的な判断が必要

有田「選挙の最中にも「犯罪」「反日朝鮮人はでていけといい、「犯罪」「反日」という限定があると逃げをつけて言い訳するものがいる。法務省の参考資料では限定とつけていても意味をなさないものはHSになりうるという資料があるがその考えは同じか

菊池「委員ご指摘の参考情報(限定しているようでも実質的にあいまいで全体を指す場合)にある通りですが、個別具体的にはケースバイケースとなる。その後考えかたは変えていない。総合的な判断はいつも必要

有田「個別具体的であるとはいえ、参考資料と同じ言動が選挙であったことを指摘しておく
3/12の事務連絡に関して公明党ヘイトスピーチPTが菅官房長官に申し入れたのは、これを警察や選管にも徹底すべきだとし、菅官房長官もこれを了承したということで間違いないか。

杉山内閣官房審議官「総務省法務省警察庁に通達した

有田「総務省はどうしたか

総務省「選挙局で受けた。選管に関しては、選挙期間中であり対応には慎重に考えざるを得ない

有田「HSへの対応は選挙介入にはならない。警察庁はどうした?

田中警察庁審議官「各都道府県警に通達。適切に対処することを指示

<参考> 2019/4/9 共同通信

選挙ヘイト、警察庁も通知 「虚偽宣伝は刑事事件に」

警察庁の田中勝也審議官は9日、参院法務委員会で、選挙運動に名を借りたヘイトスピーチに対し、差別発言の中で虚偽の宣伝などがあれば、刑事事件として取り上げるよう各都道府県警に通知したと明らかにした。/ 警察庁の通知は3月28日付。警察庁が選挙に特化したヘイト取り締まりの通知を出したのは初めて。/ 通知は(1)選挙運動だからといって不当な差別的言動の違法性が否定されることはない(2)差別的言動の中で虚偽事項の公表や選挙の自由妨害など刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処する(3)各地の法務局など関係省庁と連携する―という内容。」

this.kiji.is

 

有田「具体的に対応してほしい。川崎では運動員が抗議する人を押し倒した。そのあと公安は押し倒した運動員と談笑した。その動画が残っている。そういうことがないように。
桜井は相模原で「北朝鮮からやってきた人々」「醜い姿の朝鮮人」などと発言している。人権擁護局は実態について調査・確認をしているか

菊池「選挙中にHSがあったという報道があることは承知。一般論として、今回の選挙運動における不当な差別的言動に関する情報提供の有無等については、特定の候補者や政党への予断を生じさせる恐れがあるので、お答えを差し控える。

有田「当選するつもりはないという候補者もいる。せと弘幸在日コリアンの集住地区でやることにする、成功すれば練り歩いて演説をすると書いている。これが目的だ。人間の尊厳を守る課題として真剣に対応するべき。
練馬区の公共施設で第一党が集会を行った。びっくりしたのは市の担当者が日本第一党を知らない。京都でも小学校で講演会が行われた。各地で差別団体に施設を貸し出すことについても、選挙運動の課題として議論を進めていかなくてはならない。
人権擁護局はヘイトスピーチに関する相談等については、選挙後にあきらかにするのか

菊池「特定の候補者や政党への予断を生じさせる恐れがなくなった時点においては、公開することは検討したい

有田「法務大臣の考えは

山下法務大臣「HSはあってはならないと認識。許されないことを国民に浸透することが大事。ポスターをはる、冊子の配布などをやってきた。被害申告があれば、内容を吟味して人権侵犯の有無を判断して対処するよう法務局に通達した。しっかりと取り組みたい 

(注: 以上は、影書房さんとCRACさんの聞き取りツイートを参考にしました。)

 


途中から

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伊藤孝江:「法務省の通知を受けた警察庁における周知徹底と、この事務連絡を受けた対応について説明を」

田中審議官:「法務省人権擁護局の事務連絡については、警察庁の関係部門間で共有するとともに、3/28付で事務連絡を各都道府県警に対して発出し、周知徹底をはかっている。
警察としては不当な差別的言動が選挙運動等に藉口して行われる場合には、関係省庁等と連携して適切に対処することとしている」

伊藤孝江「市民の通報先として、法務局というのは浮かびにくい。警察への通報が一般的だと思うが、通報を受けた警察はどう対応するのか」

田中「3/28付の事務連絡の内容について説明すると、不当な差別的言動が選挙運動等として行われたからといって、ただちにその言動の違法性が否定されるものではないことを前提として、不当な差別的言動において虚偽事項の公表罪や選挙の自由妨害等刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて適切に対処すること、不当な差別的言動に関しては、各都道府県を管轄する法務省人権擁護担当部門等とも必要な連携の下で対処すること等を求めるもので、各都道府県警においてはこれに沿って対処が行われるものと考えている。」

以上は影書房さんによる聞き取り
https://twitter.com/kageshobo/status/1115478612029743105
 

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伊藤「選管の対応は

吉川総務省審議官「選挙期間中は、HSの啓発は選挙の介入という疑念になりかねない。慎重に取り扱う

伊藤「HS解消法の精神を実施することになぜ問題があるのか。再検討を

吉川「公選法は文書や寄付を対象にしていて、演説には介入しない。期間外は差し支えない

伊藤「期間外は選管は周知徹底するということか

吉川「考慮しながら周知する

伊藤「3/12の事務連絡後、都道府県で具体的対応はあったか

菊池「地方公共団体の対応は承知しない。意見交換、情報共有で把握につとめる

伊藤「兵庫県ではこの通知をきっかけにしっかりやると聞いている。この通知の意味は大きい。実効性のあるものにしてほしい
法務省選挙期間中のHS解消根絶の取り組みは

菊池「関係省庁、地方公共団体との連携が必要。人権教育、啓発。専門部会などで意見交換、情報共有している。周知してきたが引き続き、現状の取り組みを把握し、意見交換を行う

伊藤「選挙運動に名を借りたHSにたいする根絶の取り組みを行ってほしい。大臣の考えは

山下法務大臣「HSはあってはならないと認識。(以下有田議員の質問への答えを繰り返す) 貴党から官房長官への申し知れがあったのでしっかりやっていく。

 

<参考>

 2019/3/31 神奈川新聞

ナチスの虐殺を否定 支持候補の応援で 日本第一党

「4月7日投開票の川崎市議選で31日、佐久間吾一氏(川崎区・無所属)の応援演説に立った極右政治団体日本第一党」の瀬戸弘幸氏が、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺について「プロパガンダだ」と存在を否定する発言を行った。佐久間氏は「虐殺の事実を認めないのか」との神奈川新聞の取材に無言を貫いた。第一党が候補者を立てた相模原市議選を含め、選挙演説でヘイトスピーチが横行しており、その反社会性が一層浮き彫りになった。」

www.kanaloco.jp

 2019/4/7 神奈川新聞

「もう来させないで」在日コリアン

「満開の桜の下、地域の老若男女が憩う川崎市川崎区桜本の桜川公園。のどかな景色とは裏腹に張り詰めた空気が漂う。「彼らが来たのでは」。最後の訴えに走る選挙カーに耳をそばだてた。極右政治団体日本第一党」最高顧問の瀬戸弘幸氏ら差別主義者の支援を受け、市議選に立候補した佐久間吾一氏。選挙戦最終日の6日まで住民の心と共生のまちに深い傷を刻み続けた。/ 演説の予告に、家にこもって耳をふさいだ在日1世のハルモニがいた。駅前の演説に行き当たり、子どもに走って逃げるよう告げなければならなかった母親がいた。「早く選挙が終わってほしい」。多くの外国人が暮らすまちとって候補者の存在自体が脅威だった。/ 具体的な恐怖だった。陣営は在日住民の「退去」を掲げ、同区池上町で第一声を行った。非難にさらされるのは当然だった。抗議の声を上げた多くは日本人だったが、瀬戸氏は「朝鮮人の妨害」とねじ曲げ、差別と憎悪をあおる材料にした。/ 陣営の谷地中忠彦氏は男性につかみかかり、引き倒した。市PTA連絡協議会の役員も務めた人物の暴力がたがの外れぶりを物語った。瀬戸氏から金をもらい、ヘイト街宣に抗議する市民、とりわけ在日コリアンを動画で撮影し、犯罪者であるかのようなテロップを付けネット上にさらしてきた。「選挙妨害は法律違反だ」。公選法に守られているという思い上がりも重なり、差別は容易に暴力にエスカレートした。」

www.kanaloco.jp

 

「虚偽公表も刑事事件に」 選挙ヘイトで警察庁通知

統一地方選で選挙運動に名を借りたヘイトスピーチが問題となる中、選挙運動で行われた差別的言動で違法性を認知した場合、刑事事件として対処するよう警察庁が全国の都道府県警に通知していたことが9日、分かった。選挙運動として行われた場合でも違法性は否定されないとの見解を示した上で、公選法の虚偽事項公表罪などの適用を例示している。

 同日の参院法務委員会で立憲民主党有田芳生公明党の伊藤孝江両氏の質問に対し、警察庁の田中勝也審議官が明らかにした。

 通知は3月28日付で、▽選挙運動であっても差別的言動の違法性は否定されない▽虚偽事項の公表や選挙の自由妨害など刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処する▽各都道府県の法務局などと連携する-との内容になっている。

 田中審議官は神奈川新聞の取材に対し、「名誉毀損(きそん)や脅迫、侮辱罪などの適用も考えられる」との見解を示した。

 統一地方選では極右政治団体日本第一党」の候補者の演説でヘイトスピーチが横行。有田氏は川崎市議選で第一党幹部が支援する候補者の運動員が演説に抗議した市民を突き倒した暴力行為を例に、「具体的な対応が求められる」と善処を求めた。

 選挙ヘイトを巡っては統一地方選前の3月、法務省人権擁護局が「選挙運動であっても差別的言動の違法性は否定されない」とする見解を通知。公明党の要請を受けた内閣官房警察庁などに周知徹底を指示していた。

 警察庁ヘイトスピーチ解消法が施行された2016年3月、法の厳正な適用により差別的言動の解消に寄与するよう各都道府県警に通達しており、今回は選挙に名を借りたヘイトスピーチへの対応を刑事局捜査2課理事官名で通知した。」

www.kanaloco.jp

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